フリーランスエンジニアは資格が必須になってきました。高収入を期待するなら必要です。実務経験の積み重ねとポートフォリオの充実のみで、高単価案件を獲得できていた時代は既に終わっています。何故なら現在はテクノロジーの過渡期であるため、5年前の実務経験やポートフォリオは過去の遺物になっているからです。
求められている人材は、新しい技術をキャッチアップし続ける者です。その要求に応えられる者に、高単価案件が集中しています。企業は、新しいテクノロジーをキャッチアップできている証拠である資格を求めています。そのため取得した資格数に比例して単価があがるのではなく、新しいテクノロジーの有資格者に対してのみ高額な報酬が支払われる仕組みになっています。
しかし伝統的な資格であっても役に立たない事はなく、活かせる場面もあります。企業・案件・フリーランスエンジニア・時期によって、資格の価値が変化します。特定の資格について、杓子定規に価値が定まるものではないのです。
ここではフリーランスエンジニアにとって資格が高収入に繋がる経緯、資格が活きる場面、そして時間対効果の高い資格についてお伝えします。
フリーランスエンジニアの資格取得は、高収入への足がかり
高収入を得るには「プロジェクト内で指導的な立場になる」「特定分野でプロフェッショナルになる」の2つの方法があります。「指導的な立場」「プロフェッショナル」ともに、資格取得によって実現しやすくなっています。
指導的な立場、例えばプロジェクトリーダーやチームリーダーのような立ち位置になるために、資格が役立ちます。指導的な立場ではありますが、求められるのはティーチングスキルを証明する資格です。マネージメントスキルの資格は、求められていません。何故なら、資格は社内稟議を通すために使われるからです。フリーランサーを指導的立場として採用する場合、有資格者ならば社内稟議が通りやすくなります。もし無ければ、指導できる事を別の手段で社内に伝えなければなりません。
またプロフェッショナルとして案件を受注する場合、募集企業に対し出来ることを証明する必要があります。その証明に資格が有効で、特に流行りだして間もない技術のモノが有効です。
一般的に案件を受注するために、応募者はポートフォリオを作り、ブログ・SNS・Qiita等で情報発信します。しかし企業がモダンな技術を求める場合、ポートフォリオや情報発信が、募集企業に伝わるとは限りません。世に知られるようになって間もない技術の場合、企業はポートフォリオや発信された情報から、応募者の価値を見出すのが困難だからです。新しい技術は募集企業でさえ採用の判断が出来かねるのです。そこに客観的な指標である資格があれば、募集企業は採用しやすくなります。
資格を取得して一度でも単価の高い案件を受けると、次の案件も高くなります。資格に加えて実績が積み重なっていくからです。そしてブランクが生じるまでの間、高単価が続きます。資格取得は、高収入の足がかりと言えます。
フリーランスエンジニアの資格取得が、有利に働く5つのケース
フリーランスエンジニアにとって資格取得が、案件獲得や評価向上にプラスに働く事が多くなっています。以前は実績のみ重視され、採否や評価に大きく関わることは稀でした。現在は5年前とは違い、求められているアーキテクトは変化し、それに合わせて資格の捉え方も変わってきました。
しかし全ての資格がフリーランスエンジニアにとって価値あるものとは限りません。既に実務経験を積んだエンジニアが溢れている分野をターゲットに資格取得しても、採用者の目には留まらないでしょう。そこで資格取得がフリーランスにプラスになるケースを紹介します。
資格を取得すると、大型案件を高単価で受注できやすい
高単価になる条件の一つが、上流工程で指導的な立場としてプロジェクトに参画する事です。しかし指導的な立場でありさえすれば、高単価が保障されるとは限りません。指導的な立場で高単価になるのは、主に大型案件の時です。
その大型案件の元請企業は、大手企業です。大手企業は資格を重んじるため、フリーランスエンジニアに対しても資格が求められます。
現在は有資格者が増えてきたため、大手企業は以前にもまして求めています。指導的な立場になって高単価案件を受注したいのなら、資格取得が必須なのです。
資格取得によって、実務経験が少なくても受注可能になる
案件の受注条件に実務経験の年数が問われるのが一般的ですが、必須ではありません。資格によって受注に至る事があります。
募集企業が求めているのは、業務の完遂です。募集企業は業務を終わらせるために、募集時に掲げた実務経験年数が必要だとは考えていません。「実務経験3年」と明記されていても、それは「実務経験3年と同等の経験」を簡略して記載したものです。つまり実務経験の年数は、あくまでも要求レベルを表しているにすぎません。そして募集企業によって「実務経験3年」の要求レベルは、まちまちです。そのため募集企業が「この応募者は資格で十分」と判断するなら、資格取得によって案件受注ができるのです。
資格で代用が効きやすいのは、その技術が使われ始めて数年も経っていない時期です。クラウドインフラが利用され始めている今、募集企業は実務経験者と共に有資格者を求めています。募集企業は、応募者との面談時にクラウドインフラの知見を確認します。実務経験がなければ、資格の有無を応募者に確認するでしょう。そして、資格が無ければ資格取得に向けて行動しているか尋ねます。実務経験者の人材確保ができないために、未経験者でも求めているのです。使われ始めた技術の資格は、それ程価値があります。
言語の資格も同様です。業務で10年も使われている言語の資格は、高く評価されません。しかしメジャーな言語として使われ始めて数年も経ていない時期ならば、資格取得済みであることを伝えるだけで採用担当者の目が変わります。
有効な期間は限られますが、資格があれば実務経験が少なくても受注の可能性が高まるでしょう。
モダンな技術を採用する案件では、資格が評価される
モダンな技術を要する案件では、資格によって受注ができやすくなります。特にモダンな技術の理解が進んでいない募集企業に、大変有効です。
募集企業はモダンなアーキテクトを使いこなしていた実務経験者を求めています。しかし新しい技術を身に着けた人材は確保が難しいため、妥協して有資格者に頼る事になります。
ところが業務に取り掛かると、資格は必要なかったと感じることもあるでしょう。一部のモダンな技術の難易度は低いのに、企業は資格保有者を求めてしまいます。新しい技術であるため、募集企業は必要としている技術の難易度を計ることができないからです。つまりモダンな技術をキャッチアップできていない企業に対して、資格の効果が高くなるのです。
もちろん全てのモダンな技術の資格取得が、業務に不要ということはありません。資格取得する過程で学んだ事が、大いに役立つ事があります。ソリューションの提案には不可欠ですし、プロジェクト内の意思の疎通において、学びがあれば短時間で済みます。いずれ徹底的にモダンな技術を学ばなければなりません。そして可能な限り早い段階で資格取得した方が、より早くモダンな技術で実務経験が得られます。早く動けばそれだけ高収入になるのです。
機械学習の資格があると、フリーランスエンジニアは受注しやすい
モダンなプラットフォームを用いてサービスを展開している案件は、機械学習の知見が併せて求められることがあります。案件に明記されていなくても、フリーランサに求められるのです。何故ならモダンな技術を取り入れる企業は最新のテクノロジーに明るく、ソリューションの一手段として常に検討する傾向にあるからです。そこに資格があると機会学習に興味関心が強い事を示せられるため、募集企業から好印象を抱かれます。
募集企業が好感する資格は、取得が難しいものとは限りません。何故なら機械学習が必要であっても、APIの呼び出しで十分足りるからです。最先端技術の開発ではなく、最先端技術を利用する案件なのです。そのため実務に必要な資格は、機械学習が含まれるクラウドインフラの資格になります。
ところが実際の案件募集では、クラウドインフラの資格ではなく機械学習に対する知見が求められます。場合によっては、機械学習に対する意欲を示すだけで、募集企業は採用に前向きになるのです。そのため比較的取得が容易なG検定でも、意欲があり行動に移したと応募者と受け取られ、発注動機に繋がる可能性があります。
資格取得の学習が、実務で役立つ
資格を取得する過程で学んだ知識は、必ず業務で役立ちます。特にフリーランスエンジニアは、学びで得たものが後々の高単価へと繋がっていきます。
フリーランスエンジニアとして活動する場合、教えられる機会は多くありません。独力で解決する事が求められるからです。また人手が不足しているからフリーランスを求めているとは限らず、自社では解決し難いために、フリーランスエンジニアに頼るということもあります。そのためフリーランサーが他者に尋ねるようでは、募集企業からの評価が下がるでしょう。
このようにフリーランスエンジニアは、より深い知見を求められるものです。それを可能にするのが資格取得のための学習です。
資格取得の学びによって実務で結果を出すと、注目され人材価値があがります。すると次の案件で、単価が上がるでしょう。資格取得の必要はなくても、学ぶ過程で得られたものは必ず役立つのです。
フリーランスエンジニアに向いている高単価を狙える資格6選
取得に費やす時間が少ない割に、収入が上がりやすい資格があります。フリーランスエンジニアにとって時間は何よりも貴重ですので、時間対効果の高い資格だけを取りに行きたいところです。忙しい方のために、時間対効果の高い資格のみをピックアップしました。
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト
WEB系や業務系はもちろん、組み込み案件でもクラウドインフラであるAWSの知見が求められています。数年という期間においてコスト面で優れ、特段の理由がない限りAWS以外の選択肢がないからです。そのためAWS認定資格の取得は、必須という認識になりつつあります。AWS認定資格は11種類ありますが、求めれているのは分散システムの構成に役立つ「ソリューションアーキテクト アソシエイト」です。
難易度は、ネットワークに触れた経験があれば高くありません。AWSの概念を理解し実際に操作して触れていれば、常識的なレベルの問題です。
難易度が高くありませんが、現在最も求められている資格です。そして求められているために、有資格者は高単価になっています。
Microsoft Certified Azure Fundamentals
Windows製品で構築されたシステムをクラウドに移す際に、主に選択されるのがAzureです。Windows製品で構成されるのは業務系システムである事が多いため、業務系ならばAzureの資格が有効に働きます。
現在、クラウドインフラに分類される資格の中では、AWSに次いで求められています。Microsoft Azureの認定資格は複数ありますが、一般的に求められるのは「Microsoft Certified Azure Fundamentals」です。その名の通りAzureの基本的な知識を問われ、難易度は決して高くありません。AWSと同様にネットワークを触った経験があるのならば、学習期間は一か月も掛からないでしょう。
AzureはAWSに続いて企業からの需要が高いため、高単価になる傾向があります。
Google Cloud認定資格 Professional Cloud Architect
GCP(Google Cloud Platform)が求められるのは、優れた機械学習が望まれる時です。他のクラウドインフラであるAWSやAzureでも機械学習のサービスがあります。しかしGCPは優れた効果を簡単に利用できる場を用意しているため、選択される傾向にあります。案件の中には他のクラウドインフラサービスで構築されているにも関わらず、機械学習のサービスを利用する目的でGCPを採用している案件もあるのです。
そしてGoogle Cloud認定資格の中でも、比較的求められる機会が多いのは「Professional Cloud Architect」です。「高可用性を備えた堅牢かつ安全な動的ソリューションを設計」を実現するための資格になります。この資格は海外では稼げる資格として知られており、”15 Top-Paying IT Certifications for 2021″では、稼げる認定資格として2位にランクインしています。
他のクラウドインフラの認定資格と同様に取得難易度は高くありません。「Professional Cloud Architect」は容易に取得できるのに、高単価が期待できる資格なのです。
日本ディープラーニング協会 G検定
G検定は「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を検定する」ものです。フリーランスエンジニアが取得しても業務に直接的に役立たないのですが、募集企業からは問われることがあります。理由は「採用の社内稟議を通すために必要」だからです。
業務で役立つディープラーニングに関連する資格は、本来以下のものです。
・AWS Certified Machine Learning – Specialty
・Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals
・Google Cloud Professional Machine Learning Engineer
しかしフリーランスエンジニアは、上記資格の取得を確認される事はありません。募集企業からは実務経験を問われ、無ければ学習意欲が尋ねられます。そして意欲があると受け取られると、採用の稟議を通しやすい材料を探し始めます。稟議を通すのに都合が良いのが「日本ディープラーニング協会」のG検定なのです。
LinuC LPIC
LinuC と LPICは、共にLinuxの資格です。Linuxに依存しているインフラ系エンジニアにとって、両者とも業務に役立ちます。事実、LPIによるとLPIC取得後の満足度は89%に上っているのです。
しかし案件受注においてLinuC と LPICが話題に上がることはなく、フリーランスエンジニアにメリットはないように感じられるかもしれません。ところが有資格者は必ずと言っていい程、取得を勧めます。演習問題を解いていくと、取得を勧める理由が分かるでしょう。
Linuxの全体像を知ることができ、業務で関わらなかった未知の領域が明らかになり、業務の効率化に役立つのです。
LinuC と LPICは共に案件獲得や高単価にダイレクトに関わらないですが、業務を行う上で欠かせない資格になっています。
基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
稼働している環境を活かす方向で進める案件は、基本情報技術者・応用情報技術者が役立ちます。
レガシーな技術を採用し続ける案件において、フリーランスエンジニアが高収入を得るためには、プロジェクト発足直後から大手企業の上流工程に関わらなければなりません。そして上流工程に携わるならば、基本情報技術者・応用情報技術者が必要と見なされています。両資格が実務に役立つかどうかは関係なく、求められているのです。
プログラミング言語の資格
フリーランスエンジニアが、プログラミング言語の資格を問われることは多くありません。募集企業が求めているのは実務経験年数であり、なければポートフォリオや情報発信です。つまり「プログラミングの資格は業務に不十分」と一般的に認識されているのです。
しかし以下の資格を取得していれば、近い将来、高単価になるでしょう。
・Oracle Certified Java Programmer, Silver
・PHP技術者認定上級試験
・Ruby Association Certified Ruby Programmer Silver
・Python 3 エンジニア認定基礎試験
高単価になる理由は、上記の言語をできる人材の需要が現在高いためです。需要が高いため、実務経験が浅くても採用にプラスに働きます。また月額単価を決める際の材料にも使われています。一部プログラミング言語の資格は、収入の機会を増やす可能性が高いのです。
まとめ
フリーランスエンジニアが高収入を目指すならば、資格が不可欠になっています。高収入になるのは上流工程に関わるか、技術者としてプロフェッショナルになることです。既にお伝えしたように、その機会が得られるのが資格なのです。
しかし、どの様な資格でも高収入になるとは限りません。高単価に繋がる資格は限定されています。そのような資格の中でも、掛けた時間に対して得られる効果の高い資格を示しました。
資格によって一度でも高単価の軌道に乗ると、そのままエスカレーターのように上昇していきます。そして今は過渡期であるために、その上昇幅は想像を絶する高さとなっているのです。このような恵まれた機会は、そうそう訪れるものではありません。今が資格取得するのに適した時期なのです。
そして資格取得の目途が立ったら、速やかにエージェント登録をお勧めします。エージェントに営業を依頼することで営業幅が広がり、資格効果がより発揮されるからです。早めに行動に移し、その効果を可能な限り広げることで、より多く得られるのです。
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