プログラマーという職業が世に出てきてから、世間では『プログラマーの仕事はきつい』というイメージが色濃くついてしまいました。
皆さんのイメージ通りプログラマーの仕事は本当にきついのでしょうか?
特に『未経験からプログラマーになるのはきつい?』『文系出身からプログラマーに転向するのはきつい?』『女性がプログラマーになるのは心身的にきつい?』などの疑問が多いようです。
もちろんきついと思うのは各々の主観もありますが、今回はITエンジニア歴13年の筆者の経験と主観で、プログラマーの仕事は本当にきついのか解説していきたいと思います。
また、記事の最後に現役プログラマー・SE・PMにインタビューした一覧を掲載しています。「プログラマーの仕事はなぜきついのか?」について、インタビューで伺っています。
世間が考えるプログラマーのイメージ
・労働時間が長い、残業が多い、終電で毎日帰る
世間が考えるプログラマーのイメージは、激務で残業が多く、毎日終電で帰っている、という過酷な労働環境をイメージされています。
数年前までは確かにこのような状況でした。働き方改革が施行される前で、残業し放題が当たり前な時代には、プログラマーは繁忙期には毎日終電まで仕事ということが常習的になっていました。
プログラマーは恒久的に人手不足が叫ばれ、その割に案件が多く納期が厳しい中でやっているため、納品期日前になると毎日終電という会社も多かったようです。
納期ぎりぎりに焦らず効率的なスケジュールでするべきだろう、と思う方もいますが、想定外のバグや障害で納期ぎりぎりになってしまうことが多々あります。
それに、そもそもスケジュールがギリギリで開発している案件もあるため、ちょっとした想定外のバグがあるだけで炎上してしまうことがあります。
しかしこれは数年前までの事実であり、現在は働き方改革が進み、残業は決められた範囲内でしかできなくなりました。
それを前提にスケジュールを立て、余裕をもって効率よくプロジェクトを進めることが必要となっています。
大企業のSIerに友人がいますが、働き方改革後は労働環境が整備され、残業が減って残業代で稼げなくなったと嘆く声も聞きます。
ただし例外もあります。それなりの中小企業、大企業であれば働き方改革に則り労働環境を見直していますが、零細企業、ベンチャー企業は関係ないところも多くあります。
特に数名のベンチャー企業であれば、会社の成長のために労働規定など気にせず、毎晩遅くまでプログラミングに励むITベンチャーは多くあります。
新卒や中途で初めてプログラマーとして働き始める人は、ベンチャー企業で働くことをおすすめします。
なぜかって?「働き方改革を無視して好きなだけ働けるから」です。 若いうちは働き方改革に逆らえ 働き方改[…]
プログラマーがリアルにきついと感じるシチュエーション5選
プログラマーといってもさまざまな働き方があります。 SIer、SES、自社サービス開発エンジニア、社内SE、フリーランス。
それぞれの働き方で感じるつらさは異なるようです。 ここからは、プログラマーが「つらさ」と感じるシチュエーションを見ていきましょう。
SIer、SESはクライアント常駐型でストレスを感じる
SIer、SESは簡単に言うと、クライアントから開発案件を受託したり、クライアント先で開発を手伝う仕事です。自社内での開発案件もありますが、クライアント先に常駐して開発する案件も多くあります。
案件ごとでクライアントが変わるため、そのたびに違う会社の人たちと関係性を構築しなければいけません。
プログラマーはコミュニケーションが苦手な人が多いため、クライアントが変わるたびにストレスを感じる人がいます。
クライアントの社員の中には変わった人がいることもあり、上から強くものを言われたりパワハラまがいなことにあうことも少なくありません…。
また、常駐先が遠方の場合もあるため、通勤時間が長くなったり転勤を余儀なくされ、転勤先での生活に慣れるまでストレスを感じます。
WEB系のプログラマーは365日24時間拘束されることも
自社サービス開発エンジニアやWEB系のサービスを受託するSIerなど、24時間動き続けているシステムを開発・管理する業務の場合、そのシステムが動き続けている間は拘束されることになります。
もちろん何も障害がなければ労働時間外に稼働することはありませんが、急なシステム障害などがあった場合は、休日だろうが夜中だろうが朝方だろうが対応しなければいけません。
365日24時間、気を抜くことができず常にストレスを感じながらの生活になるため、これはつらいと感じる人が多いです。
筆者自身もWEBシステムの開発・管理を10年間続けていますが、パソコンやスマホを片時も手放せないため、完全にストレスから解放される瞬間は一切ありません。
今では慣れてつらさは感じませんが、お酒を飲んでて楽しい時間にトラブルが発生すると、激烈なストレスを感じます。
プログラミングだけをやり続ける業務につらさを感じる人も
プログラマーは基本的にはプログラミングをやり続けることが仕事です。ある意味、末端の作業者でもあります。
プログラマー⇒SE⇒PMとキャリアアップをしていくと、だんだん上流の要件定義や設計の仕事がメインとなりますが、プログラマーはその設計通りにプログラミングすることが仕事です。
しっかりキャリアアップしていければ良いですが、希望が叶わず年をとってもプログラマーの人でつらさを感じる人がいます。
プログラミングをすることが大好きで、あえて希望してプログラマーとしてやり続ける人は良いですが、そうでない人は苦痛を伴いながらプログラミングをやり続けなければいけません。
しかも、給与・年収に関しても、プログラマー⇒SE⇒PMと上がっていくため、収入面でもつらさを感じながら仕事を続けなければいけません。
未経験のエンジニアはプログラミングでわからなくて躓くことがつらい
未経験でエンジニアになった人や、経験が浅いプログラマーは、プログラミングで理解ができず仕事が進まずつらいと感じることが多々あります。
プログラミングというのは普段使う思考とは違う思考を使うため、慣れるまでは大変です。
他人が書いたソースコードを全く理解できず、先に進めず苦労する未経験プログラマーは多いようです。未経験の場合、1年はこうゆう状態が続くでしょう。
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未経験じゃなくても解決方法がわからず躓くことはあります。
筆者も過去に、あるガラケーのメールシステムを自社システムから自動で使えるようにするため、そのメールシステムのjavascriptを解析し勝手にAPIもどきをつくる業務を担当しました。
そのメールシステムはすごく複雑なjavascriptで、処理の動作をしているURLを見つけ、そこにPOSTするnameを解析し、2週間ほど集中してやっと完成しました。
通常のWEBサイトのシステムであれば、基本的にはユーザーが送信したものをDBに保存したり、DBからのデータをユーザーに表示するなど、動きはシンプルです。
ただ例外的に外部と連携した複雑なシステムを組んだり、インフラ構築など、答えがあってないような業務の場合は困難を極めます。
こうした業務を好んでできる人は良いですが、なかなか答えが出ずシステムが完成せず、つらいと思ってしまう人もいます。
ルーティン業務ばかりで自分の成長ができなくてつらい
プログラマーは基本的には与えられた業務をこなすのが仕事ですが、技術職のため自信の技術力の向上を望みます。
業務の都合上、細かいバグの修正ばかりをお願いされることもあります。
未経験プログラマーであれば細かいバグの修正も勉強になりますが、それなりの経験者であればルーティン作業になってしまい、自身の成長を感じられなくなります。
また、企業に所属していて使っているプログラミング言語が古い場合、PythonやRやGoなどの流行のプログラミング言語を学べずつらいと感じる人も多いです。
古い言語を使っていると数年先に仕事が先細りになる可能性が高いため、このまま今の職場で働き続けても大丈夫なのか危機感を感じるプログラマーは多いでしょう。
向上心のあるプログラマーであれば、キャリアアップのために常に自身の成長を目指します。あまりにもつまらないルーティン作業が長期間続く場合、つらくなって転職をしてしまう人もいます。
優秀で向上心のあるプログラマーほど、ルーティン作業をつらく感じてしまうため、雇う側はケアをする必要があります。
⇒プログラマー年収インタビュー(リアルなプレイヤーの声が聞ける!!)
プログラマーの仕事がきついと思われる理由5選
一般的にプログラマーの仕事がきついと思われる理由を5つご紹介します。
事実であることもありますが、誤解されていることもあるため、ここでしっかり実態を理解していきましょう。
給料が安い
『プログラマーは給料が安くて将来的にも昇給は期待できないんでしょ?』
このように考えている人は多いですが、半分は事実です。
半分というのは、そう考えてい人の境遇によって捉え方が変わるからです。
プログラマーの平均年収は400万円前後であるため、これよりも低い年収で働いている人は高いと感じるでしょう。
しかし、一生プログラマーとして働いている場合、昇給の天井は早めにやってきます。
プログラマーというのはSEが作った設計書、仕様書を元にその通りにプログラミングをします。つまり作業者であるため、SEやプロジェクトを管理するPMなどに昇格できないと昇給の天井は低くなります。
拘束時間、勤務時間が長い、残業が多い
『とにかくプログラマーの仕事は過酷』というイメージが世間一般についていると思います。
もちろん会社によってこの実態は異なりますが、働き方改革以前と比べればかなり改善されました。
逆に残業が制限されて残業代が稼げないと嘆いているプログラマーもいますが、今は副業案件も増えてきたため、本業はほどほどの残業で終わらせ副業でプログラミング案件をする人も増えてきています。
新しい技術を学び続けないといけない
これは圧倒的に事実です。
プログラマーはプログラミング言語を習得し、その言語を使ってプログラマーの仕事をこなします。
プログラミング言語の流行り廃りのスピードは速く、今使っているプログラミング言語が数年後に使えないということもありえます。
プログラミング自体が好きで新しい技術を覚えることが好きな人は、プログラマーにとても向いていると言えます。
逆に仕事と割り切ってプログラマーとして働いている人は、新しい技術の習得が億劫になり、気づいたら「技術不足で仕事がもらえない」なんてこともありえます。
下請けのIT土方
この理由が個人的にはプログラマーとして一番きついと思います。
プログラマーはシステム開発会社に在籍して、外部からシステム開発を受託してそのプログラミングを行うケースが多いです。
ある程度大きなシステム会社であれば一次請けで楽しい仕事もありますが、現実は二次請け三次請け、中には四次請け五次請けなんてこともありえます。
小さなシステム会社や小規模なSESの場合、上のように下層で仕事を請けることになり、IT土方と言われるように作業をただひたすらこなすだけとなります。
ひたすら指示通りにつまらないプログラミングとテストをし、薄給で長時間労働になります。
IT業界が人手不足できつい
既述の理由と重なる部分もありますが、人手不足により残業が増えたり休日出勤を余儀なくされることがあります。
ただし人手不足という事は、優秀な人材は重宝されることになりますから、プログラマーとしての能力を高めていけばより良い環境の仕事に転職することも可能です。
日本のIT人材・ITエンジニア不足は、ニュースやさまざまなメディアで取り上げられています。
菅政権に変わり、日本自体のIT化の遅れを取り戻すためデジタル庁を新設するなど、日本のIT人材不足はますます加速しそうです。 20[…]
未経験で文系出身からプログラマーになるのはきつい?
文系の大学に通っていたが、プログラマーになりたいと考える人は多くいます。そういった文系出身が未経験からプログラマーになれることはできるのか?
結論、ある程度の偏差値の大学であればなれます。
実際、大手SIerは新卒で文系の大学生を多く採用し、社内の研修によってプログラマーに育て上げる手法をとっています。
大手の場合はプログラマーの業務を経て、SEやPMに上がっていくキャリアになるため、途中で挫折しなければ順調に年収も上がりキャリアも積んでいけるでしょう。
このように上手く新卒で大手に入れればラッキーですが、それができなかった人もプログラミングスクールに通って1からプログラミングを勉強しプログラマーになる道が残されています。
実際に未経験からプログラミングスクールに通い、エンジニアへの転職を成功したインタビューをご覧ください。
女性がプログラマーになるのはきつい?
結論、女性こそプログラマーがおすすめです。
業務できついこともありますが、それを乗り越えてスキルをつければ、その後は安定して収入を得ることができます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
Twitterで女性プログラマーについてツイートがありましたので、私個人の女性プログラマーについての見解を書いていきます。 私はプログラマーからSEのキャリアで13年経ちますが、たくさんの女性プログラマーを見てきま[…]
きついと感じない理想のプログラマーになるには
それは、フリーランスのプログラマーになることです。
能力のあるプログラマーであれば、フリーランスになっても仕事が途絶えることはありません。
しかもフリーランスであれば場所にも時間にも捕らわれずストレスフリーで働くことができます。
プログラマーの最終ゴールはフリーランスです。
現在プログラマーでフリーランスになることを考えている人は、いくつかのエージェントに相談してキャリアステップを確立させましょう。
現役プログラマー・SE・PMに聞いた。「なぜプログラマーの仕事はきつい?」
当メディアのインタビュー企画で、現役のプログラマー・SE・PMの方にインタビューをしております。
そのインタビューの中で「なぜプログラマーの仕事はきついのか?」の見解をいただきましたので、ぜひご参考にしてみて下さい。
今回のコンサルタント年収インタビューは、中堅SIerでプログラマーからSEを経験 […]
