「オウンドメディアはオワコン」という声がある一方で、適切に運用されているメディアは、継続的な集客や問い合わせにつながる資産になっています。本記事では、オウンドメディアで成果が出ない理由と、立て直すための具体的な対策を解説します。戦略設計から運用方法まで、実例を交えて紹介します。
結論|オウンドメディアはオワコンではない
オウンドメディアが「意味がない」と判断される主な理由は、目的や戦略が曖昧なまま運用されていることや、コンテンツが読者のニーズを十分に満たしていないことです。適切な戦略を立て、継続的に品質を改善すれば、現在でも成果を目指せます。
NYマーケティングの支援事例には、オウンドメディアを起点に月50件以上のリードを獲得し、そのうち20~25件程度が問い合わせにつながっているケースがあります。SEO競争が激しい業界でも、YouTubeやX(旧Twitter)などを組み合わせ、専門性を一貫して発信することで問い合わせの増加につなげています。つまり、オウンドメディアそのものが終わったのではなく、成果を出すための運用方法が変化しています。独自情報を盛り込み、複数チャネルを活用しながら、コンバージョンから逆算して設計することが重要です。
オウンドメディアが「オワコン」と言われるようになった5つの理由
オウンドメディアで成果を出しにくくなった背景には、検索環境の変化と運用上の課題があります。ここでは、「オワコン」と言われる主な理由を5つに分けて解説します。
コンテンツの飽和で検索上位の獲得が難しくなった
多くの企業がオウンドメディアを運用し、内製化やツール活用も進んだことで、単純な記事量産では差別化しにくくなりました。生成AIによって記事を作りやすくなったことも、似た内容のコンテンツが増える一因です。このような状況では、専門性や独自情報を示し、必要に応じて動画やSNSにも展開するなど、総合的にブランドを構築する視点が求められます。
一方、自社の経験やデータなどの一次情報を盛り込めば、競争が激しい市場でも差別化できます。上位サイトの焼き直しではなく、自社にしか提供できない知見を記事に落とし込むことが第一歩です。
生成AIの普及で記事を差別化しにくくなった
生成AIは既存情報をもとに文章を生成するため、AIだけに頼った記事制作では独自性が不足しやすくなります。Googleの検索品質評価ガイドラインで示されるE-E-A-T(Experience・Expertise・Authoritativeness・Trustworthiness)の観点からも、実体験や専門知識、信頼できる根拠を示すことが重要です。
生成AIを使ったこと自体を理由に、Googleから低く評価されるわけではありません。ただし、検索順位の操作を目的に、付加価値の乏しいページを大量生成すれば、スパムポリシーに抵触する可能性があります。一次情報や独自データ、業界知見を加え、事実確認と編集を人が担うことが、品質を保ちながらAIを活用するポイントです。
検索アルゴリズムの複雑化とコアアップデートの影響がある
Googleのコアアップデートなどにより、検索順位や流入が変動することがあります。ただし、個々の変動に合わせて小手先の対応を繰り返すのではなく、読者にとって有用で信頼できるコンテンツを継続的に改善することが基本です。あわせて、検索だけに依存せず複数の流入源を確保すれば、メディア全体の安定性を高められます。
SNS・YouTube・AI検索など集客チャネルが多様化した
SEOは引き続き重要ですが、単一チャネルへの依存にはリスクがあります。ターゲットユーザーが利用する媒体と自社の業態に応じて、SEO・SNS・YouTubeなどを組み合わせましょう。SEO業界のように競争が激しい場合も、SNSなどで接点を増やすことで、検索以外からも認知を獲得できます。
SEOは成果が表れるまでに時間がかかる場合があるため、ほかの媒体で初期の認知を得る方法も検討します。NYマーケティングでは、創業当時からSEO、X(旧Twitter)、YouTubeで発信し、DB型SEOという専門領域の認知獲得に活用してきました。このように複数チャネルで一貫した情報を発信すれば、それぞれの接点を補完できます。
目的のない記事量産で費用対効果が悪化している
目的を定めずに記事を増やすと、検索意図を十分に満たさないページや、似た内容のページが混在しやすくなります。記事数は増えているのに表示回数や問い合わせが伸びない、低品質なページを改善できていないといった状態は、運用を見直すべき兆候です。継続的なリライト、コンバージョン導線の改善、内部リンクの整理、不要なページの管理まで含めて運用する必要があります。
成果を出しているメディアは、記事数だけを追わず、各記事がビジネスゴールにどう貢献するかを明確にしています。限られたリソースを有効に使うには、目的に基づいて制作する記事を選ぶことが重要です。
成果が出ないオウンドメディアに共通する失敗パターン
オウンドメディアの失敗には共通するパターンがあります。自社のメディアがどれに当てはまるかを確認することが、改善への第一歩です。
SEO経由のアクセスだけを目標にしている
SEOアクセスだけを目標にすると、事業への貢献を見失いやすくなります。アクセス数が増えても、問い合わせや比較検討の支援など、記事に期待する役割を果たしていなければ見直しが必要です。改善は、次の流れで進めます。
まず分析と目標の再設定として、どの記事からどれだけコンバージョンが生まれているか詳細に分析し、本当に狙うべきキーワードを見極めます。次にCVR改善として、記事内容とコンバージョンポイントのミスマッチを改善し、ユーザーの熱量が上がったページへの導線を強化します。その後、リライトと内部リンクの強化により、順位が下がった記事のリライトとトピッククラスター化による内部リンク強化を実施します。最後に低品質ページの管理として、定期的に品質チェックと改善を行います。
これらの施策を進めるうえでは、「売上やリードにつながるキーワード」を見極めることが重要です。検索ボリュームの大きさだけでなく、読者の検討段階や自社サービスとの関連性も踏まえて優先順位を決めましょう。
目的・ターゲット・KPIが曖昧なまま運用している
多くの失敗メディアでは、目的・ターゲット・KPIが曖昧なまま運用されており、進捗の測定と改善方向の判断が困難になっています。この問題にはいくつかの典型的なパターンがあります。ターゲットのズレが生じると、求めているターゲットと実際に集めているターゲットが異なり、「アクセスはあるのに問い合わせがない」という状況に陥ります。
キーワード選定の誤りでは、検索ボリュームが多いからという理由だけでキーワードを選ぶと、コンバージョンしないユーザーを集めてしまいます。KPI設定の不適切さでは、単純な「アクセス数を増やす」というKPIは売上につながらず、段階ごとに細かくKPIを設定し最終的な成果に繋がる逆算的なKPI設計が必要です。改善のためには、ペルソナを具体化することが重要です。属性・興味関心・課題・目標を明確にし、そのペルソナがカスタマージャーニーのどの段階にいるか、そこからコンバージョンに至るまでのステップを明確にします。その上で「この段階ではこの指標を改善する」という定量的なKPIを提示することで、目的が定まった運用が可能になります。
競合分析や一次情報が不足している
競合分析と一次情報の充実は、読者の疑問を漏れなく解消しつつ、記事を差別化するうえで重要です。競合記事から必要な論点を把握するだけでなく、自社の経験やデータをどのように記事へ落とし込むかを検討しましょう。
独自の調査データがない場合でも、自社の経験や顧客インサイト、業界知見は一次情報になり得ます。こうした情報を具体的に記事化することで、読者への有用性を高めながら競合との差別化を図れます。
外注任せで自社の知見や独自性を反映できていない
外注ライターに任せきりにすると、企業内部の情報が記事に反映されず、上位サイトの焼き直しのような内容になりがちです。特に専門性の高いテーマでは、適切なライターや監修者を確保できるかも品質を左右します。外注する場合も、発注企業が一次情報を提供し、内容を確認できる体制を整えましょう。
成功事例では、クライアント企業が構成やライティングを細かくチェックし、社内にしか存在しない事例・ナレッジ・顧客インサイトを記事に反映させています。このレベルのコミュニケーション密度があってこそ、競合に勝つ記事が完成するのです。外注活用の場合でも、クライアント企業の積極的な関与が成功の鍵となります。
記事とコンバージョン導線がつながっていない
アクセスが集まっていてもコンバージョンしない場合、ターゲット設定のズレまたは記事内のCTA設置不足の可能性があります。どれほど多くの人が記事にアクセスしても、コンバージョンまでの導線が明確でなければ、メディアとしての価値は限定的です。記事の改善施策を通じてコンバージョン率を高めていく対応が必要です。
記事の内容を読者のニーズに合わせ、記事を読んだ後の選択肢として、問い合わせ、資料ダウンロード、サービス詳細ページなどへ自然に進める構成にすることが重要です。ただし、すべての記事で直接的なコンバージョンを求めるのではなく、読者の検討段階と記事の役割に合った導線を設けましょう。
生成AI時代に求められるオウンドメディア戦略
生成AIによって一般的な情報を整理しやすくなった現在は、二次情報をまとめるだけでなく、自社ならではの一次情報を加えることが、オウンドメディアの価値を高めます。
独自データ・事例・専門知見などの一次情報を発信する
Googleは、検索順位を上げることだけを目的にしたコンテンツではなく、人の役に立つ、信頼できるコンテンツを重視する方針を示しています。E-E-A-Tは検索品質評価ガイドラインにおける評価の考え方であり、単独の点数や直接的なランキング要因ではありませんが、記事の品質を考える際の参考になります。一次情報には、自社で取得した独自データ、顧客事例、業界知見、実験・検証結果などが含まれます。
一次情報を掲載するときは、調査条件や事例の前提を明示し、公的機関や公式サイトなどを参照した情報には出典を添えます。単なるコンテンツ量産ではなく、自社にしか提供できない情報を、読者が検証できる形で発信することが信頼につながります。
業界知見や顧客インサイトをコンテンツ設計に活かす
オウンドメディアを成功させるには、業界知見や顧客インサイトをコンテンツ設計に活かすことが重要です。ただし、自社が伝えたい内容を優先しすぎると、読者のニーズを見失います。顧客との会話や問い合わせ内容を確認し、顕在化している疑問だけでなく、本人がまだ言語化できていない課題まで掘り下げましょう。
自社には特別な情報がないと思っていても、現場には顧客からよく受ける質問、提案時の判断基準、成功・失敗事例などが蓄積されています。ビジネスモデル、KPI、強み、公開できる情報とできない情報を整理し、読者にとって価値のある形へ翻訳しましょう。このプロセスを通じて、業界知見と顧客インサイトがメディアの差別化要因になります。
汎用的な情報だけでなく自社らしさを打ち出す
汎用的な情報だけでなく、自社の見解や具体的な経験を示すことで、読者の記憶に残りやすいメディアになります。ただし、独自の主張には根拠を添え、読者にとって有用な形で伝えることが前提です。発信内容に一貫性を持たせることは、ブランド認知や次の行動にもつながります。
NYマーケティングのクライアントである株式会社コムデックでは、公式サイトで800本の記事と400本の動画を公開していると紹介しています。継続的に事例やノウハウを発信することは、ユーザーから信頼される情報源を目指すうえで有効です。自社らしい情報を蓄積することで、競合との差別化にもつながります。
AI活用と内製化によって運用効率を高める
AIを活用すれば、調査や構成作成、下書きなどを効率化できます。ただし、すべての企業が完全内製化すべきとは限りません。社内に残したい知見や意思決定は内製し、専門性や制作量が不足する部分は外注するなど、自社の体制に合った分担を選ぶことが大切です。
NYSEOでは、企業担当者へのインタビューを通じて一次情報を整理し、その内容を記事作成に反映できます。NYマーケティングの運用例では、担当者によるインタビュー回答と最終確認を含め、1記事あたり1~1.5時間程度で制作するケースがあります。ただし、所要時間はテーマや確認量によって異なります。生成内容の事実確認や、自社の見解として公開できるかの判断は人が行う必要があります。
成果を生み出すオウンドメディアの3ステップ改善
ビジネスゴールから逆算して設計することで、オウンドメディアを集客や商談に貢献する資産へ近づけられます。ここでは、改善の流れを3つのステップで解説します。
ステップ1:目的・ターゲット・KPIを再設計する
既存メディアの目的やKPIを再設計する際は、段階に応じた適切なKPI設計が重要です。現在のメディアの状態を正確に把握し、どのフェーズにあるかを認識することからスタートします。
売上や商談などのビジネスゴールから逆算する
まず、売上目標や必要な商談数から、獲得したいリード数の目安を算出します。そのうえで、見込み顧客が検討過程で検索するテーマを洗い出し、検索需要、自社サービスとの関連性、競合性を踏まえてキーワードの優先順位を決めます。検索ボリュームだけからリード数を機械的に見積もるのではなく、記事ごとの役割とコンバージョンまでの導線をあわせて設計することが重要です。
運用フェーズに応じてKPIを設定する
メディアの初期段階では、運用体制、公開本数、品質基準、インデックス状況、表示回数などを確認します。一定のコンテンツが蓄積されたら、検索流入、問い合わせへの貢献、リライトによる改善率などへ重点を移します。既存記事への追記で検索意図を満たせる場合はリライトし、異なる検索意図を扱う必要がある場合は新規記事を作成して内部リンクでつなぐなど、段階に応じて施策を選びましょう。
ステップ2:既存コンテンツを棚卸しして改善する
既存コンテンツは、流入数や直接的なコンバージョンだけで一律に判断しないことが大切です。認知、比較検討、意思決定など、記事が担う役割を定めたうえで、その役割に合った指標で評価します。アクセスが集まっているのに次の行動につながらない場合は、ターゲットのズレ、記事内容とCTAの不一致、導線不足などを確認しましょう。
既存記事に一定の表示回数や流入がある場合は、導線や内容を改善することで、ゼロから新規記事を作るより早く成果につながることがあります。新規制作とリライトのどちらを優先するかは、データを見て判断しましょう。
検索流入・コンバージョン・記事の役割から評価する
具体的には、Googleアナリティクスとコンバージョンデータを紐付けて、どの記事からどれだけコンバージョンが生まれているかを詳細に分析します。同時に、検索順位が高くてもアクセスが少ないキーワードがないかを確認し、リライト優先度を決定します。各記事の役割を明確にすることも重要です。認知記事、検討記事、決定記事といった段階ごとに異なるコンテンツが必要であり、各記事が全体のカスタマージャーニーのどの段階を担当するのかを定義することで、メディア全体の構造が明確になります。このような棚卸しプロセスを通じて、改善すべき記事と新たに制作すべき記事が見えてきます。データに基づいた客観的な評価により、限られたリソースを最適配分できるようになります。
ステップ3:ターゲットに合わせて集客チャネルを選ぶ
複数のチャネルを活用すると、認知や流入の経路を増やせます。単一チャネルへの依存を抑えられる点も利点ですが、すべての媒体へ同時に手を広げる必要はありません。目的とリソースに合わせて優先順位を決めましょう。
SEO・SNS・動画・メールの優先順位を決める
優先順位は、ターゲットユーザーが利用する媒体と、自社の商材・業態を基準に決めます。例えばBtoBではLinkedInやXが候補となり、消費者向けではInstagramやYouTubeが適する場合があります。ただし、業界や顧客層によって有効な媒体は異なるため、仮説を立てて検証することが必要です。SEOとほかのチャネルを組み合わせ、認知からコンバージョンまでの接点を設計しましょう。
オウンドメディアを継続・縮小・撤退する判断基準
オウンドメディアを続けるかどうかは、短期的なアクセスの増減だけでは判断できません。目的、体制、先行指標、事業への貢献、必要な投資を整理したうえで、継続・縮小・撤退を判断します。
オウンドメディアを継続すべき企業の特徴と成功条件
継続に向いているのは、オウンドメディアの目的が明確で、必要な予算と担当者を確保できる企業です。経営層や事業責任者が方針を共有し、現場に一次情報を提供できる体制があれば、記事の方向性を保ちながら改善を続けやすくなります。
AI Overviewsなど検索体験が変化しても、ユーザーの疑問に答える信頼できる情報を自社サイトに蓄積する重要性は変わりません。LLMOやAEOといった用語だけを追うのではなく、検索エンジンとAI検索の変化を把握し、従来のSEOの基本とあわせて対応する姿勢が求められます。
縮小・撤退を検討すべき企業の判断基準
縮小や撤退を検討する前に、目的、キーワード戦略、品質、導線、運用体制に問題がないかを確認します。必要に応じて外部の専門家から評価を受けるのも有効です。成果が出るまでの期間は、サイトの状態、競合性、更新頻度、商材によって異なるため、「12~18カ月」などの一律の期限では判断できません。表示回数や対象キーワードの順位、指名検索、商談への貢献といった先行指標を確認し、改善を続けても投資対効果が見込めない場合に縮小や撤退を検討します。
一方、予算や担当者を確保できず、一次情報の提供や品質確認も継続できない場合は、対象テーマや更新頻度を絞る判断も必要です。撤退ありきで考えるのではなく、既存記事の維持・統合、対象領域の縮小、外注範囲の見直しを比較したうえで決定しましょう。
まとめ|オウンドメディアはオワコンではなく運用方法が変化している
オウンドメディアは、記事を量産するだけでは成果を出しにくくなりましたが、役割を失ったわけではありません。ビジネスゴールから逆算し、読者のニーズに合うテーマを選び、自社ならではの一次情報を盛り込むことが重要です。さらに、既存記事の改善やコンバージョン導線の整備、SNSや動画との連携を継続することで、集客や商談に貢献する資産へ育てられます。
NYSEOは、キーワードや検索意図の整理、構成・本文作成、企業担当者へのインタビューを通じた一次情報の反映など、SEO記事制作を支援するツールです。AIの出力をそのまま公開するのではなく、担当者が事実関係や自社の見解を確認することで、制作効率と独自性の両立を図れます。
オウンドメディアの戦略や制作体制を見直したい場合は、NYSEOの機能や活用方法をご確認ください。

