Webメディアの運営期間が長くなるにつれ、過去に公開したコンテンツの取り扱いは避けて通れない課題となります。
SEO対策において古い記事を削除すべきか否かは、情報の鮮度のみならず、サイト全体の専門性と信頼性を左右する戦略的な判断が必要です。低品質なページはドメイン評価を下げる要因となり得ますが、無闇な削除は貴重な流入機会の損失を招くリスクもあります。
結論として、一律に削除するのではなく、アクセス解析や情報の正確性に基づき「リライトによる品質向上」と「適切な削除」を使い分けることが順位維持の鍵です。
本記事では、Googleの評価基準に基づく判断フローと、具体的な対処法を解説します。
- 古い記事がSEOに与える影響とGoogleの評価基準
- 記事を削除・統合すべきか判断するための定量的な基準
- リライトや301リダイレクトを活用した順位維持のテクニック
古い記事はSEOに悪影響を与える?基本的な考え方
古い記事が必ずしもSEOに悪影響を与えるわけではありませんが、放置された情報はサイト全体の評価を下げる要因になり得ます。
SEOの観点では、情報の「鮮度」と「品質」が維持されているかが重要であり、単に公開日が古いこと自体がペナルティになるわけではないのです。
まずは、Googleが古いコンテンツをどのように評価しているのか、その基本的な仕組みを理解しましょう。古い記事に対するSEOの考え方を以下の4つのポイントで解説します。
- 考え方①|Googleはコンテンツの鮮度を重視している
- 考え方②|情報が古いとユーザー満足度が下がる
- 考え方③|質の低い記事がサイト全体の評価を下げる可能性
- 考え方④|すべての古い記事が悪いとは限らない
考え方①|Googleはコンテンツの鮮度を重視している
Googleは検索ユーザーに対して常に最新で有益な情報を提供することを目指しており、多くの検索クエリにおいてコンテンツの「鮮度」を重要な評価指標としています。
理由は、情報は時間の経過とともに変化し、古い情報がユーザーにとって無価値、あるいは有害になる場合があるからです。
特に「最新情報」や「時事ニュース」、頻繁に仕様変更が行われる「ソフトウェアの使い方」などのトピックでは、情報の鮮度が検索順位に直結します。Googleは「QDF(Query Deserves Freshness)」というアルゴリズムを採用しており、時事性が高い検索キーワードに対しては新しい情報を優先的に上位表示させる傾向があります。
たとえば、2020年に書かれた「おすすめのスマートフォン10選」という記事がそのまま放置されていたとします。当時の最新機種は現在では型落ちとなっており、これから購入を検討しているユーザーにとっては役に立たない情報です。
このような記事は、どれほど詳しく書かれていても検索意図を満たしていないため、Googleからの評価は下がります。
実際に、定期的に記事の内容を最新情報に更新しているサイトは、更新していないサイトと比較して、検索順位が平均して20%以上高く維持されるというデータもあります。
したがって、SEOで成果を出し続けるためには、記事を公開して終わりにするのではなく、定期的なメンテナンスが必要です。
具体的には、記事内のデータや日付を最新のものに書き換えたり、古くなった情報を削除して新しいトピックを追加したりする「リライト」が求められます。
常に情報が最新の状態に保たれているサイトは、Googleから「生きた情報を発信している信頼できるサイト」として認識され、上位表示されやすくなります。
考え方②|情報が古いとユーザー満足度が下がる
情報が古い記事は、Googleの評価だけでなく、実際にサイトを訪れたユーザーの満足度(UX)を著しく低下させます。
ユーザーは検索エンジンを使って、現在の自分の悩みや疑問を解決するための「正解」を探しています。検索結果から記事にアクセスした際、そこに書かれている内容が古かったり、現在では通用しない情報だったりした場合、ユーザーは強いストレスを感じます。
その結果、記事を最後まで読むことなく「戻るボタン」を押して検索結果画面に戻ってしまいます。
たとえば、飲食店の紹介記事を見てお店に行ったのに、すでに閉店していたりメニューの価格が大幅に上がっていたりしたらどうでしょうか。
その記事を書いたメディアに対して不信感を抱き、二度とそのサイトを参考にしようとは思わないはずです。Webサイト上の情報も同様で、例えば「ツールの設定方法」を調べているのに、画面のキャプチャ画像が旧バージョンのままで操作手順が異なっていれば、ユーザーは即座に離脱して競合他社のわかりやすいサイトへと流れていきます。
SEOにおいて、ユーザーの滞在時間や直帰率は重要な評価シグナルの一つです。古い情報によってユーザー満足度が下がり、早期離脱が繰り返されると、Googleは「この記事はユーザーにとって価値が低い」と判断し、検索順位を落とします。
また、古い情報を放置することは、メディアとしての信頼性(E-E-A-T)を損なうことにも繋がります。
特にYMYL(お金や健康など)の領域では、古い情報がユーザーに実害を与えるリスクもあるため、情報の正確性と最新性は生命線と言えます。ユーザーの信頼を獲得し、サイトのファンになってもらうためにも、常に情報は最新の状態にアップデートしておく必要があります。
考え方③|質の低い記事がサイト全体の評価を下げる可能性
古い記事を大量に放置することは、個別の記事の順位だけでなく、Webサイト全体のSEO評価(ドメインパワー)を押し下げるリスクがあります。
Googleはサイトを評価する際、個々のページ品質だけでなく、サイト全体の品質も見ています。
アクセスが全くなく、情報も古い「低品質なページ」がサイト内に大量に存在すると、サイト全体の平均点が下がってしまうのです。これを放置することは、良質な記事の評価まで足を引っ張ることになりかねません。
たとえば、100記事あるブログのうち、80記事が数年間アクセスゼロで情報も古いままだったとします。
Googleのクローラー(サイトを巡回するロボット)は、これらの価値の低いページにもリソース(クロールバジェット)を割いて巡回しなければなりません。その結果、本来もっと頻繁にクロールして評価すべき重要な「稼ぎ頭の記事」への巡回頻度が落ちてしまい、サイト全体の評価向上が遅れる可能性があります。
実際に、低品質な古い記事を数百ページ単位で削除または統合して整理した結果、サイト全体のクロール効率が改善し、主要キーワードでの順位が上昇した事例は数多く存在します。
また、過去に量産した似たようなテーマの記事が複数存在すると、検索エンジンがどのページを評価すべきか迷う「カニバリゼーション(共食い)」が発生することもあります。
これもサイト全体のパフォーマンスを低下させる大きな要因です。したがって、サイトの健全性を保つためには、定期的に「記事の棚卸し」を行い、低品質な古い記事に対してはリライトによる品質改善を行うか、あるいは削除・統合といった思い切った判断を下すことが、サイト全体のSEO評価を守るために不可欠な戦略となります。
考え方④|すべての古い記事が悪いとは限らない
ここまでの説明で「古い記事は悪である」と感じたかもしれませんが、必ずしもすべての古い記事を削除や更新する必要があるわけではありません。
世の中には、時間が経過しても価値が変わらない「エバーグリーンコンテンツ(不朽のコンテンツ)」が存在します。
これらは、情報の鮮度よりも普遍的な事実や本質的なノウハウが求められるテーマであり、適切に作成されていれば、数年前に書かれた記事であってもSEOで上位表示され続け、継続的なアクセスを生み出します。
たとえば、「将棋の基本ルールの解説」や「歴史的な出来事の事実関係」、「哲学的な思考法」といったテーマは、時代が変わっても内容が大きく変わることはありません。
また、過去に起きたイベントのレポート記事や、その時点でのデータ記録といった「アーカイブとしての価値」を持つ記事も存在します。
これらの記事に対して無理に「2025年最新版」とタイトルにつけたり、内容を大幅に変えたりすることは、かえって記事の価値を損ない、検索意図とのズレを生じさせる原因になります。
実際、公開から5年以上経過していても、毎月数万PVを稼ぎ続ける優良な記事は多くのメディアに存在します。
このような記事は、過去に多くの被リンク(外部サイトからの紹介)を獲得しているケースが多く、サイトのドメインパワーを支える重要な資産となっています。
安易に削除してしまうと、これまでに蓄積された被リンク資産を失うことになり、サイト全体に大ダメージを与えてしまいます。
重要なのは「古いから削除する」という短絡的な判断ではなく、その記事が「現在もユーザーにとって有益か」「検索意図を満たしているか」を個別に判断することです。
価値ある古い記事はそのまま残し、必要に応じて「この記事は〇〇時点の情報です」と注釈を入れるなどの対応で、適切に管理していくことが正解です。
古い記事を削除すべきか?SEO判断の基準
古い記事の取り扱いは、担当者の「勘」や「思い入れ」で決めるべきではありません。
GoogleアナリティクスやSearch Consoleなどの客観的なデータに基づき、サイトの成長にとってプラスかマイナスかを機械的に判断する必要があります。判断を誤って必要な記事まで削除してしまうと、流入数の減少を招く恐れがあるため、
明確な基準を設けて選別作業を行いましょう。具体的には、以下の4つの基準に照らし合わせて、記事を「残す(リライト)」「統合する」「削除する」のいずれかに分類します。
- 基準①|アクセス数が長期間ゼロの記事は削除候補
- 基準②|内容が重複している記事は統合や削除を検討
- 基準③|誤情報・古すぎる情報は信頼性に悪影響
- 基準④|他の記事との関連性が薄く孤立している記事は価値が低い
基準①|アクセス数が長期間ゼロの記事は削除候補
一定期間にわたり誰にも読まれていない記事は、サイトにとって「余分な荷物」となっている可能性が高いため、優先的な削除候補となります。
Webサイトには、Googleのクローラーが巡回できるリソース(クロールバジェット)に限界があります。アクセス数がゼロの記事が大量に存在すると、クローラーがそれらの無価値なページにリソースを浪費してしまい、本来評価されるべき重要な記事への巡回が遅れる原因になります。
また、ユーザーに全く利用されていないページは「低品質なコンテンツ」とみなされ、サイト全体の品質評価(ドメインの信頼性)を引き下げる要因にもなり得ます。
特に記事数が100記事を超えてきた段階で、全体の2割以上がアクセスゼロという状況は、SEOの観点から見て不健全です。
具体的な判断基準としては、「直近6ヶ月間」のGoogle Search Consoleのデータを確認してください。
表示回数とクリック数がともに「0」であり、かつ今後も検索需要が見込めない記事は削除対象です。
ただし、削除する前には必ずその記事が「季節性のトレンド記事」でないかを確認しましょう。「おせち料理」や「海水浴」のような記事は、特定の時期以外はアクセスがゼロになるのが正常だからです。これらを誤って削除しないよう注意が必要です。
対処法としては、完全に不要な記事であれば「404(Not Found)」または「410(Gone)」ステータスコードを返して削除します。
もし、記事の内容自体は悪くないものの検索需要がない場合は、削除ではなく「noindexタグ」を設定して、検索結果には表示させずに記事自体は残すという選択肢もあります。
サイト内検索やSNS経由での閲覧は維持しつつ、SEO上のマイナス評価だけを回避することが可能です。まずは自サイトの記事リストを抽出し、アクセスの有無でフィルタリングすることから始めてください。
基準②|内容が重複している記事は統合や削除を検討
サイト内に内容が似通った記事が複数存在する場合、それらを一本化(統合)することでSEO評価が改善するケースが多くあります。
同じようなテーマやターゲットに向けた記事が複数あると、Googleはどちらのページを検索結果に表示すべきか判断できなくなります。
これを「カニバリゼーション(共食い)」と呼びます。カニバリゼーションが起きると、本来1つの記事に集まるはずだった被リンクやユーザーの滞在時間などの評価が分散してしまい、結果として両方の記事が検索順位の上位に上がれなくなるという共倒れの状態に陥ります。
たとえば、「SEOとは」という初心者向けの記事と、「SEOの基礎知識」という記事が別々に存在する場合、検索意図はほぼ同じです。
このような場合は、どちらか一方のパフォーマンスが良い(順位や流入が多い)記事を「親記事」として残し、もう一方の「子記事」の内容を親記事に追記・統合します。
そして、子記事のURLから親記事のURLへ「301リダイレクト」を設定します。
子記事が過去に獲得していた被リンクや評価を親記事に引き継ぐことができ、統合後の記事はより強力なコンテンツとして順位上昇が期待できます。
統合時の判断手順は以下の通りです。
- ターゲットキーワードで検索し、自サイトの記事が複数ランクインしていないか確認する
- 内容の重複度合いが高い記事をリストアップする
- 残す記事(正規URL)を決定し、足りない情報を他方の記事から移植する
- 不要になった記事を削除し、301リダイレクトを設定する
単に削除するだけでは過去の評価を捨ててしまうことになるため、類似記事の場合は「統合+リダイレクト」が最も効果的なSEO施策となります。
記事数を減らしながら1記事あたりの質を高める「少数精鋭」の構成を目指しましょう。
基準③|誤情報・古すぎる情報は信頼性に悪影響
内容が事実と異なっていたり、情報が古すぎて現在では適用できなかったりする記事は、サイトの信頼性を守るために早急な対処が必要です。
Googleは検索品質評価ガイドラインの中で「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」を重視しています。
特に誤った情報や古い情報を放置しているサイトは「信頼性(Trust)」が低いと判断され、検索順位が大幅に下落するリスクがあります。
また、ユーザーがその情報を信じて行動し、損害を被った場合は、クレームや炎上といったブランド毀損に直結する可能性もあります。特に法律、税金、医療、金融といったYMYL領域では、情報の正確性が何よりも優先されます。
例えば、「2019年の消費税率」に基づいた料金シミュレーション記事や、すでに「サービス終了したツール」の解説記事などが該当します。
これらはリライトで最新情報に修正できる場合は更新すべきですが、修正コストが見合わない場合や、テーマ自体が消滅している場合は削除が正解です。サービス終了したツールの記事などは、リライトしようがありません。
具体的な対処の振り分けは以下の表を参考にしてください。
| 記事の状態 | 推奨されるアクション | 理由 |
| 情報は古いがテーマは現役 | リライト(更新) | 最新情報を追記すれば資産になるため |
| テーマ自体が消滅・終了 | 削除(404/410) | ユーザーにとって無益であり、更新も不可のため |
| 過去の記録として価値がある | 注釈付きで存続 | 「当時の情報です」と明記し、アーカイブとして残す |
| 誤情報が含まれている | 即時修正または非公開 | ユーザーの不利益を防ぐため最優先で対応 |
誤情報の放置は「百害あって一利なし」です。定期的なコンテンツ監査を行い、情報の賞味期限切れがないかをチェックする体制を整えてください。
基準④|他の記事との関連性が薄く孤立している記事は価値が低い
サイトの主要テーマと無関係な記事や、内部リンクで繋がっていない孤立した記事は、SEO上の価値が低いため削除または整理の対象となります。
Googleはサイト全体を「トピッククラスター」という概念で評価する傾向があります。
これは、特定のテーマに関する記事群が内部リンクで相互に繋がっている状態を高く評価する仕組みです。しかし、サイトの専門テーマとは全く関係のない「雑記」や「日記」、あるいはどのカテゴリーにも属さない孤立したページは、このクラスターから外れた存在となります。
これらはサイトの専門性を薄めるノイズとなり、専門特化サイトとしての評価を阻害する要因になります。
たとえば、企業の「Webマーケティング支援サイト」の中に、担当者の「今日のランチ紹介」や「社内運動会の様子」といった記事が大量にある場合です。
これらは採用広報としては意味があるかもしれませんが、SEO(検索流入獲得)の観点では、専門性を濁らせる不要なコンテンツです。
また、内部リンクが一本も張られていない「孤立したページ(オーファンページ)」は、クローラーが到達しにくく、ページランク(評価)も受け渡されないため、検索順位が上がることはほぼありません。
対策としては、まずその記事が「誰のためにあるのか」を再定義します。もしSEO目的ではなく、既存顧客や採用候補者に読ませたい記事であれば、検索エンジンにはインデックスさせない「noindex」処理を行い、サイトマップやメニューからはアクセスできるように残します。
一方で、誰の役にも立っていない完全にテーマ外の記事であれば、迷わず削除しましょう。サイトのテーマを絞り込み、専門性を尖らせることが、現在のSEOで勝ち残るための重要な戦略です。
古い記事を活かす!SEO効果を高める改善方法
基準に照らして「削除対象ではない」と判断した古い記事は、そのまま放置するのではなく、適切なリライトを施すことで、新規記事を作成するよりも効率的に集客数を伸ばせる可能性があります。
すでにGoogleにインデックスされており、一定の評価期間を経ている記事は、少しの改善で順位が跳ね上がる「ポテンシャル」を秘めているからです。ここでは、古い記事をSEOの武器として蘇らせるための具体的な3つの改善アプローチを紹介します。
- 方法①|最新情報を加筆してニーズに対応
- 方法②|タイトルや見出しをリライトしてCTR向上
- 方法③|検索キーワードを再選定する
方法①|最新情報を加筆してニーズに対応
情報の鮮度が落ちている記事に対しては、単なる日付の更新ではなく、中身を現代のニーズに合わせて刷新する「コンテンツのアップデート」が最も確実な改善策です。
検索ユーザーは常に「今の自分」に役立つ情報を求めています。公開当時は最新だった情報も、数年経てばデータは古くなり、紹介していたツールが終了していたり、法律が変わっていたりすることは珍しくありません。
このような「情報の劣化」は、ユーザーの離脱を招くだけでなく、Googleからの評価を著しく下げます。したがって、リライトの際は、まず記事内のすべての事実関係を洗い出し、最新のデータや状況に合わせて書き換える作業から始めます。
具体的には、古い統計データを最新の政府発表数値に差し替える、紹介しているサービスの料金プランを現行のものに修正する、といった作業です。
しかし、マイナスをゼロに戻すだけでは不十分です。競合サイトの上位記事を分析し、公開当時にはなかった「新しい切り口」や「トレンド情報」を加筆することが重要です。
たとえば、数年前の「リモートワーク」の記事なら、当時は存在しなかった新しいコラボレーションツールの紹介や、法改正による労働規則の変化などを追加します。
このように、既存の骨組みを活かしつつ、肉付けする情報を最新化することで、記事の専門性と網羅性が高まります。
Googleは「記事が更新されたこと」自体を検知し、鮮度の高い情報として再評価を行うため、順位の大幅な改善が期待できます。単に更新ボタンを押すだけの偽装行為は避け、必ずユーザーにとってのメリットが増える形での加筆修正を行ってください。
方法②|タイトルや見出しをリライトしてCTR向上
検索順位が一定以上あるにもかかわらず、アクセス数が伸び悩んでいる記事は、タイトルや見出しを改善してクリック率(CTR)を高める施策が有効です。
検索結果画面(SERPs)において、タイトルは看板の役割を果たします。どれほど中身が良い記事でも、タイトルが古臭かったり、ユーザーの興味を惹けなかったりすれば、クリックされることはありません。
特に「2020年版」のような古い年号が入ったままのタイトルや、「〇〇とは?」のようなありきたりなタイトルは、競合の中に埋もれてしまいます。Search Consoleで「表示回数は多いがクリック率が低い記事」を特定し、タイトルの見直しを行いましょう。
改善のポイントは、具体性とベネフィット(利益)の提示です。たとえば、「SEO対策の解説」というタイトルを、「2025年版|SEO対策の基礎から実践まで5ステップで解説」に変更します。
このように「最新であること(年号)」や「具体的な数字(5ステップ)」、そして「何が得られるか(実践までわかる)」を明記することで、ユーザーのクリック意図を刺激します。
また、スマホの検索結果で見切れないよう、重要なキーワードはタイトルの左側(冒頭30文字以内)に配置するのが鉄則です。
見出し(H2・H3)についても同様に、目次を見ただけで記事の要点が伝わるようにリライトします。
ユーザーは記事を読む前に目次をスキャンし、自分に必要な情報があるかを判断する傾向があるからです。
問いかけるような見出しではなく、「〇〇の解決法は△△」のように結論を含んだ見出しにすることで、本文への誘導率を高めることができます。タイトルと見出しの最適化は、本文を書き直すよりも工数が少なく、即効性が高い施策です。
方法③|検索キーワードを再選定する
公開当時と現在とで検索ニーズが変化している場合、狙うキーワードそのものを見直す「ターゲットの再設定」を行うことで、記事を再生させることができます。
Webの世界では、言葉の使われ方や流行の移り変わりが激しく、当初狙っていたキーワードが現在では使われていなかったり、逆に競合が強すぎて太刀打ちできなくなっていたりすることがあります。
また、ビッグキーワード(検索ボリュームが大きい語句)で上位表示を狙ったものの、順位がつかずに埋もれているケースも少なくありません。このような場合は、無理に同じ土俵で戦い続けるのではなく、キーワードを少しずらして「勝てる場所」を探す戦略が有効です。
たとえば、「ダイエット」という広義なキーワードで順位が取れない場合、「ダイエット 40代 男性 食事」のように、より具体的でニッチな「ロングテールキーワード」にターゲットを変更します。
ターゲットを絞り込むことで、検索ボリュームは減りますが、その分ユーザーの悩みが明確になるため、コンバージョン(成果)に繋がりやすくなります。
あるいは、「〇〇とは」という知識系のキーワードから、「〇〇 使い方」「〇〇 おすすめ」という実践・比較系のキーワードへシフトするのも一つの手です。
キーワードを再選定した際は、そのキーワードの検索意図(ユーザーが知りたいこと)に合わせて、記事の構成や本文を大幅に修正する必要があります。
場合によっては、h2見出しの順番を入れ替えたり、不要な章を削ったりする大胆な変更も必要です。
しかし、ゼロから記事を書くよりも、既存のURLとドメイン評価を引き継げる分、有利に展開できます。過去のこだわりを捨て、現在の市場ニーズに合わせて柔軟に舵を切ることが、古い記事を活かす賢い戦略です。
古い記事を削除する場合のSEO配慮ポイント
記事の削除は、CMSの管理画面で「ゴミ箱に入れる」を押して終わりではありません。
SEOの観点からは、削除ボタンを押した瞬間から、Googleへの通知や評価の引き継ぎといった「事後処理」がスタートします。
適切な手順を踏まずに削除してしまうと、今まで積み上げてきたドメインの評価をドブに捨てたり、予期せぬ順位下落を招いたりするリスクがあります。
ここでは、サイトへのダメージを最小限に抑え、SEO評価を維持するために必ず守るべき4つの配慮ポイントを解説します。
- ポイント①|削除前にSearch Consoleでアクセス状況を確認
- ポイント②|必要に応じて301リダイレクトを設定
- ポイント③|削除後にインデックス削除リクエストを送る
- ポイント④|削除の影響は定期的にモニタリング
ポイント①|削除前にSearch Consoleでアクセス状況を確認
記事を削除する前には、必ずGoogle Search Consoleを用いて、その記事の「真の価値」を定量的に評価するプロセスが不可欠です。
自分たちが「古い」「不要だ」と感じていても、実は特定のニッチなキーワードで検索上位を獲得していたり、外部の有力なサイトからリンク(被リンク)が貼られていたりするケースは珍しくありません。
このような「隠れた資産記事」を誤って削除してしまうと、サイト全体の流入数が減るだけでなく、被リンクによって支えられていたドメインパワーが低下し、他の記事の順位まで連鎖的に下落する恐れがあります。
したがって、主観での判断は捨て、直近12ヶ月〜16ヶ月という長期間のデータを参照して、アクセスの有無を確認してください。
確認すべき指標は、「検索パフォーマンス」と「リンク」の2つです。まず、検索パフォーマンスで「合計クリック数」と「合計表示回数」を見ます。ここが完全にゼロであれば削除しても影響は軽微ですが、少しでも数字がある場合は、どのようなクエリで流入しているかを確認します。
もし、コンバージョン(成果)に近い重要なクエリで流入があるなら、削除ではなくリライトを検討すべきです。次に、リンクレポートで「外部リンク」を確認します。公的機関や大学、大手メディアなどからのリンクがある場合、その記事はSEO的に極めて価値が高いため、絶対に削除してはいけません。
ポイント②|必要に応じて301リダイレクトを設定
記事を削除する際、そのURLに蓄積されたSEO評価(ページランク)を無駄にしないためには、「301リダイレクト」の設定が最も有効な手段となります。
301リダイレクトとは、あるページへのアクセスを恒久的に別のページへ自動転送する技術のことです。
記事を単に削除して「404(Not Found)」にすると、そのページが持っていた被リンクの評価や、検索エンジンからの信頼度はすべて消滅してしまいます。
しかし、関連性の高い別の記事へ301リダイレクトを設定することで、Googleに対して「ページが移動しました」と伝えることができ、元のページが持っていたSEO評価の約100%を転送先のページへ引き継ぐことが可能になります。
ただし、すべての削除記事をリダイレクトすれば良いわけではありません。転送先の内容が元の記事と無関係(例:料理の記事からパソコンの記事へ転送)である場合、Googleはそれを「ソフト404」として扱い、リダイレクトを無効化します。
リダイレクトを行う条件は、転送先がユーザーにとって「代替となる情報」である場合に限られます。適切な設定を行うことで、過去の遺産を最新記事の強化に利用するエコシステムを構築しましょう。
以下の基準を参考に、301リダイレクトの要否を判断してください。
| 記事の状態 | リダイレクト判断 | 理由 |
| 内容が重複している類似記事 | 必須 (301) | 評価を統合し、カニバリを解消するため |
| 被リンクがある古い記事 | 推奨 (301) | 外部からの評価を捨てずに引き継ぐため |
| アクセスがあるが終了した話題 | 推奨 (301) | 関連する上位カテゴリへ誘導し、離脱を防ぐため |
| アクセス0・被リンクなしの記事 | 不要 (404/410) | 引き継ぐべき評価がなく、サーバー負荷を減らすため |
ポイント③|削除後にインデックス削除リクエストを送る
記事をサーバー上から削除した後は、Google Search Consoleの「削除ツール」を使用して、検索結果からの早期除外をリクエストすることが推奨されます。
記事データを削除して404エラーが出る状態にしても、Googleのデータベース(インデックス)にはしばらくの間、古い情報が残り続けます。
そのため、ユーザーが検索結果でその記事を見つけてクリックしても「ページが見つかりません」と表示される状態が数日から数週間続くことがあります。
これはユーザー体験(UX)として非常に悪く、サイトのブランドイメージを損なう原因になります。また、存在しないページが検索結果に残り続けることは、サイトの品質管理を疑われる要因にもなりかねません。
このタイムラグを解消するために使うのが「削除ツール」です。Search Consoleから「一時的な削除」をリクエストすることで、Googleの検索結果から即座に(通常数時間以内に)そのURLを非表示にすることができます。
これはあくまで「検索結果での非表示」を行う機能であり、インデックス自体を完全に消去するものではありませんが、クローラーが次回巡回して404を検知するまでの間の「目隠し」として非常に有効です。
ポイント④|削除の影響は定期的にモニタリング
記事の削除対応が完了した後も、それで終わりではなく、最低でも1〜2ヶ月間はサイト全体への影響をモニタリングし続ける必要があります。
記事削除はサイト構造の変化を伴うため、予期せぬ副作用が発生することがあります。最も多いトラブルが「内部リンク切れ」です。
削除した記事に向けて貼られていたサイト内のリンクがそのまま放置されていると、ユーザーがそのリンクを踏んだ際にエラーページに飛ばされてしまいます。
これは回遊率を下げ、Googleのクローラーの巡回を妨げる大きなマイナス要因です。削除後は、専用のチェックツール(Broken Link Checkerなど)を使ってサイト内をスキャンし、リンク切れを修正する作業が必須です。
また、削除した記事が実はサイト全体のトラフィックを支える「ハブ」の役割を果たしていた場合、削除後にサイト全体の順位がじわじわと下がることがあります。
Search Consoleでサイト全体のクリック数や表示回数の推移を確認し、削除のタイミングと連動して数字が悪化していないかを見張ってください。
もし急激なアクセス減が見られた場合は、削除した判断が誤っていた可能性があります。その際は、記事を復元(リライトして再公開)するか、リダイレクト先をより適切なページに変更するなどのリカバリー措置が必要です。
SEOは「やってみなければ分からない」部分があるため、施策後の検証が何よりも重要です。
「削除してスッキリした」で満足せず、数字の変化に目を光らせ、サイトの健康状態を維持し続ける運用体制を整えましょう。定期的なメンテナンスこそが、強いサイトを作る秘訣です。
内部リンクとリライトで古い記事の影響を抑える4つの工夫
古い記事を適切に管理し、サイト全体のSEO評価を底上げするためには、単体の記事修正だけでなく、記事同士の「つながり」を強化する視点が不可欠です。
Googleはサイト内のリンク構造を通じて、どのページが重要であるかを判断しているからです。ここでは、削除や大規模な統合を行う前に、日々の運用の中で実践できる、古い記事の影響を最小限に抑えつつ価値を最大化するための4つの工夫を紹介します。
- 工夫①|新しい記事からリンクを貼って評価を集中
- 工夫②|「最新情報はこちら」などの導線を設置
- 工夫③|古い内容には注釈をつける
- 工夫④|リライト時は重複コンテンツ化を避ける
工夫①|新しい記事からリンクを貼って評価を集中
新しく公開した記事から、関連性の高い古い記事へ積極的に内部リンクを貼ることは、埋もれかけた過去の記事を再評価させるための最も手軽で効果的な手法です。
Webサイトの記事は、公開直後はトップページの新着一覧などに表示されるためアクセスが集まりやすいですが、時間が経つと階層の奥深くへ沈んでいき、クローラーもユーザーも到達しにくくなります。
いわゆる「孤立ページ」予備軍です。これを防ぐために、集客力のある新しい記事を入り口として、そこから過去の良質な解説記事や用語集へリンクを繋ぎます。これにより、新しい記事が得たSEO評価(リンクジュース)が古い記事にも分配され、サイト全体の評価循環が生まれます。
具体的には「トピッククラスターモデル」を意識したリンク設計を行います。メインとなる包括的な記事(ピラーコンテンツ)と、詳細を解説する個別記事(クラスターコンテンツ)を相互にリンクさせる構造です。
たとえば、新しく「2025年のマーケティングトレンド」という記事を書いたなら、そこから過去に書いた「マーケティングの基礎用語」や「2024年の成功事例」といった記事へリンクを貼ります。
この際、自動生成される「関連記事」ウィジェットだけに頼らず、本文の文脈に合わせて自然な形でテキストリンクを設置することが重要です。アンカーテキスト(リンクの文字)には、「こちらの記事」といった指示語ではなく、「マーケティング基礎用語の解説」のように具体的なキーワードを含めることで、Googleに対してリンク先の内容を正しく伝えることができます。
過去記事への導線を常に確保し、サイト内の血管を詰まらせない運用を心がけてください。
工夫②|「最新情報はこちら」などの導線を設置
どうしても削除できない古い記事や、アーカイブとして残すべき記事には、ユーザーを迷わせないための「出口」として、最新情報への明確な導線を設置する必要があります。
検索エンジン経由で古い記事に辿り着いたユーザーは、そこに書かれている情報が古いと分かった瞬間、すぐに検索結果に戻ろうとします。この「直帰」はSEO評価を下げる要因です。
しかし、記事の冒頭や目立つ位置に「この記事の最新版はこちら」という案内があれば、ユーザーは検索結果に戻ることなく、サイト内の新しい記事へと移動してくれます。これにより、ユーザーの課題解決を自サイト内で完結させることができ、滞在時間や回遊率といったエンゲージメント指標を改善できます。
以下の表を参考に、記事の特性に合わせた導線パーツを設置しましょう。
| 設置場所 | 目的 | 推奨される形式 |
| 記事冒頭(H2直前) | 即座の誘導 | 目立つボタンやテキストリンク。「最新情報を見る」と明記。 |
| 情報が古い箇所 | 誤解の防止 | 該当箇所の直下に「現在は〇〇に変更されています(詳細)」と追記。 |
| 記事末尾(まとめ) | 次の行動喚起 | 関連する最新記事のカード型リンクを表示。 |
特に法改正やツールの仕様変更など、情報が完全に置き換わっている場合は、冒頭での誘導が必須です。
CMSの「ウィジェット」や「再利用ブロック」などの機能を活用し、共通の案内パーツを作成しておけば、一箇所の修正ですべての古い記事の案内を更新できるため、管理工数も大幅に削減できます。
工夫③|古い内容には注釈をつける
情報の鮮度が落ちているものの、資料的価値があるために残す記事には、必ず「いつ時点の情報であるか」を明示する注釈をつけ、ユーザーの誤解と信頼性の低下を防ぎます。
インターネット上の情報は、いつ書かれたものか判別しにくい場合があります。特に日付の表示が目立たないデザインのサイトでは、ユーザーが数年前の記事を最新情報だと勘違いして読み進めてしまうリスクがあります。
もしその情報に基づいて行動し、損害が発生すれば、メディアとしての信用は地に落ちます。E-E-A-T(信頼性)の観点からも、情報の賞味期限を読者に正しく伝えることは運営者の責任です。
具体的には、記事のタイトル下やアイキャッチ画像の直下に、アラートボックスのようなデザインで注釈を挿入します。
「※この記事は2020年4月時点の情報に基づいています。現在の仕様とは異なる可能性がありますのでご注意ください」といった文言です。単に日付を書くだけでなく、「何が変わった可能性があるか」まで示唆できると親切です。
また、過去のイベントレポートや、当時の考察記事などは、「アーカイブコンテンツ」であることをタグやカテゴリで明確に区別するのも有効です。
読者に対して「これは昔の記録として読んでください」というスタンスを明確にすることで、情報が古いこと自体がマイナス評価になるのを防ぎます。
誠実な情報開示は、長期的なファン獲得に繋がる重要な要素です。隠そうとするのではなく、古さを正しく伝える工夫を行ってください。
工夫④|リライト時は重複コンテンツ化を避ける
古い記事をリライトして最新化する際、誤って新しいURLで記事を作成してしまい、新旧の記事が重複してしまうミスは絶対に避けなければなりません。
SEOの原則として、1つのテーマに対して1つのURLが存在するのが理想です。
しかし、リライトの際に「元の記事を消さずに、新しい記事を新規投稿で作る」という手順を踏むと、内容はほぼ同じでURLが異なる2つのページが同時に存在することになります。
Googleがどちらを評価すべきか迷い、評価が分散するだけでなく、重複コンテンツ(コピーコンテンツ)としてペナルティを受ける可能性すらあります。
リライトを行う際は、必ず「既存の記事(URL)を直接編集して更新する」ことを徹底してください。
もし、構成を大幅に変えるために下書き状態で作業したい場合は、CMSの「複製機能」ではなく、リライト専用のプラグインなどを使用して、公開時に既存URLへ上書きされる設定にする必要があります。
やむを得ずURLを変更する場合(例:URLに年号が含まれていて、それを削除したい場合など)は、必ず古いURLから新しいURLへ「301リダイレクト」を設定します。
古いURLへのアクセスも評価も、すべて新しいURLへ引き継がれます。
リライトは記事を生まれ変わらせるポジティブな施策ですが、URLの管理を間違えると逆効果になります。URLの一貫性を保つことは、SEOのテクニカルな基礎として常に意識しておきましょう。
まとめ
SEO対策において、古い記事は単なる「ゴミ」ではなく、磨き上げれば強力な武器になる「原石」です。
Googleは情報の鮮度を重視しますが、それは「新しい記事を量産すること」と同義ではありません。
過去の記事を適切に管理し、ユーザーにとって価値ある状態に保ち続けることこそが、ドメインの評価を高める近道です。
本記事でお伝えした判断基準を再確認しましょう。
- アクセスがなく、役目を終えた記事は削除(410)
- 類似した記事が複数ある場合は統合(301リダイレクト)
- 情報は古いが需要がある記事はリライト(更新)
- アーカイブ価値がある記事は注釈を入れて存続
これらを判断するためには、Search ConsoleやGoogleアナリティクスのデータ分析が不可欠です。
「なんとなく」で削除するのではなく、数字に基づいた戦略的な断捨離と改善を行うことで、検索順位の維持・向上が実現します。
もし、「自社の記事数が多すぎて判断しきれない」「削除やリライトの具体的な手順に不安がある」という場合は、ぜひ一度、SEOの専門家によるサイト診断をご検討ください。
現状のサイト構造を分析し、どの記事を資産として残すべきか、最適なロードマップをご提案いたします。まずは無料相談から、貴社サイトの「健康診断」を始めてみませんか。

