NYマーケティング

【2025年版】SEO対策の見積もり完全ガイド|相場・内訳・失敗しない比較表つき

SEOの見積もりが複雑化しやすい背景には、業者によって「作業範囲」や「成果の定義」が大きく異なるという業界特有の事情があります。

単に「SEO対策一式」として提示された金額の多寡だけで判断を行うと、本来必要な戦略設計が欠落していたり、逆に自社のフェーズには過剰な技術要件が含まれていたりするリスクが生じます。

費用対効果を最大化するためには、提示された総額の裏側にある「作業工数」「コンテンツ品質」「技術的難易度」を分解し、自社の事業目標(KPI)と照らし合わせて投資判断を行うリテラシーが求められます。

本記事では、ブラックボックス化しやすいSEO対策の費用構造を解明し、業者の選定時に確認すべき具体的なチェックポイントを体系的に解説します。

この記事でわかること
  • 施策別(コンサル・記事制作・内部対策)の適正な費用相場
  • 「SEO一式」と記載された見積もりの内訳と原価の考え方
  • 契約トラブルを防ぐための見積書チェックリスト16選
  • 優良な業者からの提案を引き出すためのRFP(提案依頼書)作成法
目次

見積書の内訳はこう読む:『SEO一式』を分解する4つの費目

見積書に「SEO対策一式」とだけ記載されている場合、その内容は不透明であり、適正価格であるかを判断することができません。SEOの費用は形のないサービスへの対価であるため、何にどれだけのコストがかかっているのかを細分化して理解する必要があります。

「一式」の内訳を分解すると、主に「作業工数」「コンテンツ制作費」「ツール利用費」「技術開発費」の4つに分類されます。

業者から提示された金額の根拠を明確にし、自社に必要な施策が過不足なく含まれているかを確認してください。

費用項目費用の目安と内容チェックすべき透明性
① 作業工数とレートの明示戦略設計:月20〜40時間、運用作業:月30〜60時間を標準工数とする。これらが具体的な作業内容に基づいているか。「どの作業に」「何時間」かかるのか、その時間単価(レート)の根拠が明確に説明されているか。
② コンテンツ費構成費用:1〜2万円、執筆費用:2〜6万円、編集費用:1〜2万円、監修費用:1〜5万円など、制作工程ごとの単価。文字単価ではなく、コンテンツ一本あたりの総額と、その内訳(執筆レベルや監修者の経歴)が明確に分かれているか。
③ ツール・検証費順位チェック、アクセス解析、キーワードリサーチなどのツール費用(月額0〜5万円)を、支援費用に含めるのか、別途請求するのか。費用に含まれているツールの種類と、その使用権限がクライアントにあるか、また検証レポートの頻度が明確か。
④ 技術・開発費スキーママークアップコアウェブバイタル(CWV)改善サーバーログ解析などの技術的な改善作業(スポットで5〜20万円)の扱い。スポットでの技術作業について、作業範囲見積もりの根拠が事前に提示され、追加費用が発生しないことが保証されているか。

①作業工数とレートの明示:戦略設計20〜40h/月・運用30〜60h/月の根拠

SEOコンサルティング費用の大半を占めるのは、担当コンサルタントやディレクターが稼働する「時間あたりの人件費(タイムチャージ)」です。

一般的に、プロフェッショナルの稼働単価は1時間あたり1万円から3万円程度で設定されています。月額30万円の見積もりであれば、月に約15時間から30時間の稼働が確保されている計算になります。

戦略設計が必要な初月や大規模な改修を行う月には20時間から40時間、定常的な運用フェーズでは30時間から60時間程度の工数が必要です。

見積もりを見る際は、総額だけでなく「月間何時間の稼働が約束されているか」を確認することで、実質的なコストパフォーマンスを測ることができます。具体的な作業内容は多岐にわたるため、以下の表を参考に工数の妥当性を判断してください。

作業項目具体的なタスク内容想定工数(月)
調査(リサーチ)キーワード選定、競合サイトの流入分析、市場トレンド調査5〜10時間
企画(プランニング)コンテンツ構成案の作成、サイト構造の設計、マイルストーン策定10〜20時間
実装(ディレクション)内部タグの修正指示、エンジニアとの調整、入稿作業5〜15時間
分析(レポーティング)順位変動の確認、アクセス解析、月次レポート作成、定例会議5〜10時間

これらの工数がブラックボックス化していると、何も作業が行われていない月でも費用が発生する恐れがあります。契約前に想定される稼働時間の内訳と、超過した場合の追加費用の有無について確認しておくことが重要です。

②コンテンツ費:構成1〜2万円・執筆2〜6万円・編集1〜2万円・監修1〜5万円

コンテンツSEOにおいて、記事制作費は単なる「ライティング費用」ではありません。高品質な記事を一本作り上げるためには、企画から公開までに複数の工程と専門スタッフが関わります。

見積もりが「記事単価」として一括りにされている場合でも、その裏側には構成作成、執筆、編集・校正、専門家監修といったプロセスが存在します。

安価な業者の場合、これらの工程の一部(例えば構成作成や校正)が省略されている可能性が高く、結果として上位表示されない低品質なコンテンツが納品されるリスクがあります。

適正な見積もりかどうかを見極めるために、以下の各工程における相場感を把握してください。

工程費用相場役割と重要性
構成作成10,000円〜20,000円検索意図を分析し、記事の骨組みを作る最重要工程
執筆(ライティング)20,000円〜60,000円構成に基づき、正確で読みやすい文章を作成する
編集・校正10,000円〜20,000円誤字脱字のチェックだけでなく、情報の網羅性を高める
監修(専門家)10,000円〜50,000円記事内容の信憑性を担保し、E-E-A-Tを高める

「1文字〇〇円」という換算だけでなく、これらの工程がすべて含まれた上での単価であるかを確認してください。特にYMYL領域では監修費が必須となるため、見積もり段階で監修者のアサイン可否と費用を含めて相談する必要があります。

③ツール・検証費:順位/解析/キーワードツール(月0〜5万円)の扱い

SEO対策を正確かつ効率的に進めるためには、有料の分析ツールや順位計測ツールの導入が不可欠です。

プロの業者は「Ahrefs」や「Semrush」、「GRC」といった高機能なツールを使用しており、これらのライセンス料が経費として計上されます。

月額のコンサルティング費用の中にこれらのツール利用料が含まれている(インクルードされている)場合もあれば、別途「ツール費」として請求される場合もあります。

見積もり項目に「システム利用料」や「分析ツール費」という記載がある場合は、具体的にどのツールを使用し、クライアント側もそのデータを閲覧できるのかを確認してください。

ツール種類概要と利用の必要性
順位計測ツール日々の検索順位を追跡するために必須のツールです。自社で導入していない場合、コンサルティング業者のレポートに依存することになります。
競合分析ツール競合サイトの被リンク流入キーワードを調査し、戦略策定に利用します。月額数万円の高額なものが多いため、業者契約のメリットの一つと言えます。
ヒートマップツールユーザーのページ内行動(どこを見たか、どこで離脱したか)を可視化し、CVR改善に役立てます。ページ単位での課金となることが一般的です。

ツール費が月額費用に含まれている場合、契約終了後に過去のデータにアクセスできなくなるリスクがあります。

重要なデータはCSVなどで定期的に共有してもらうか、自社アカウントで契約して権限を付与する形式をとるか、契約形態を慎重に検討してください。

④技術・開発費:スキーマ/CWV改善/ログ解析(スポット5〜20万円)

コンテンツやキーワードといった目に見える部分だけでなく、Webサイトの裏側にある技術的な課題を解決するための費用です。

テクニカルSEOと呼ばれるこの領域は、HTMLやCSS、JavaScript、サーバー設定に関する高度な専門知識を要するため、一般的なライターやディレクターでは対応できません。

そのため、コンサルティング費用とは別に、エンジニアが稼働するためのスポット費用(技術費)として計上されることが一般的です。

特に大規模サイトやWordPressなどのCMSをカスタマイズしているサイトでは、この技術的な修正が順位上昇の鍵を握るケースが多々あります。

技術施策費用相場(スポット)施策の目的
構造化データ実装50,000円〜150,000円検索エンジンに情報を正確に伝え、リッチリザルトを表示させる
CoreWebVitals改善100,000円〜300,000円ページの表示速度や操作性を向上させ、UX評価を高める
ログファイル解析100,000円〜200,000円クローラーの挙動を分析し、インデックス効率を最大化する
サイト移転・リダイレクト100,000円〜300,000円ドメイン変更やSSL化に伴う評価の引き継ぎを確実に行う

これらの施策は一度設定すれば長期的に効果を発揮するため、月額費用ではなく一括払いの投資として捉えるべきです。

見積もりに「内部修正指示書」の作成費が含まれていても、実際の「修正作業(コーディング)」が含まれていない場合、自社のエンジニアリソースを確保するか、別途開発費を支払う必要がある点に注意してください。

料金体系の選び方:固定・成果報酬・スポットのメリデメ比較

SEO対策の契約形態には主に「固定報酬型」「成果報酬型」「スポット型」の3種類があり、企業の予算規模やSEOへの取り組み方によって最適な選択肢は異なります。

自社の課題が「継続的な集客増」にあるのか、「特定キーワードの上位表示」にあるのか、あるいは「一時的な技術修正」にあるのかを見極めてください。

それぞれの料金体系には明確なメリットとデメリットが存在するため、特徴を比較検討し、自社のリソースやリスク許容度に合った契約を結ぶことが重要です。

料金体系の選び方:固定・成果報酬・スポットのメリデメ比較
  • ①固定報酬型のメリット・デメリット:安定運用と継続改善⇔固定費負担
  • ②成果報酬型のメリット・デメリット:初期費用軽減⇔KWD条件・長期総額増
  • ③スポット型のメリット・デメリット:課題特化⇔継続運用の抜け漏れ

①固定報酬型のメリット・デメリット:安定運用と継続改善⇔固定費負担

月額固定型は、毎月決まった金額を支払い、コンサルティングやコンテンツ制作などのサービスを継続的に受ける契約形態です。

SEO対策は施策を実施してから効果が出るまでに時間がかかるため、中長期的な視点で腰を据えて取り組む企業に最も選ばれています。

最大の利点は、順位変動に一喜一憂することなく、サイト全体の品質向上やコンテンツ拡充といった本質的な施策に集中できる点です。

また、毎月の費用が一定であるため、年間の予算計画が立てやすく、社内稟議を通しやすいという側面もあります。

一方で、成果が出ない期間であっても費用が発生し続けるため、業者選びに失敗すると「コストだけがかかり続ける」という事態に陥るリスクがあります。

このリスクを回避するためには、契約前に「月次の作業内容」と「KPI(目標数値)」を明確に握り、定例会議での進捗確認を徹底することが不可欠です。

項目固定報酬型のメリット固定報酬型のデメリット
費用毎月一定額で予算管理が容易成果が出ない月も支払いが発生する
施策サイト全体の底上げ(内部・外部・記事)が可能契約範囲外の作業は別料金になる場合がある
期間中長期的な戦略に基づき安定運用ができる6ヶ月〜1年の契約縛りがあることが多い
ノウハウ定例会議などを通じて社内に知見が蓄積される業者の実力が低い場合、何も残らない

デメリットである「固定費の負担」に対しては、契約期間中の解約条件(途中解約の可否や違約金の有無)を事前に確認するか、最初の3ヶ月はお試し期間として契約するなどの交渉を行うことでリスクを軽減できます。

固定報酬型が適しているのは、オウンドメディアの立ち上げ期や、サイト全体の大規模なリニューアルを行うタイミングです。

具体的には「毎月新規記事を10本投入し、並行して既存記事のリライトと内部リンクの最適化を進めたい」といった、複合的な施策が必要なケースにマッチします。

このようなプロジェクトでは、単一のキーワード順位だけでなく、サイト全体のトラフィック増加やドメインパワーの向上が求められるため、包括的なサポートが受けられる月額固定契約が最もコストパフォーマンスを発揮します。

②成果報酬型のメリット・デメリット:初期費用軽減⇔KWD条件・長期総額増

成果報酬型は、あらかじめ指定したキーワードが検索結果の特定順位(通常は10位以内)に入った日だけ費用が発生する契約形態です。

初期費用を安く抑えられるため、SEOに初めて取り組む企業や、リスクを極力排除したい企業にとって魅力的な選択肢となります。

「上がらなければ0円」という分かりやすい仕組みは、社内の決済担当者を説得する材料としても有効です。しかし、成果報酬型には構造的なデメリットも潜んでおり、長期的に見ると固定報酬型よりも割高になるケースが少なくありません。

特に、難易度の低いキーワードばかり提案されたり、順位維持のために質の低い被リンクを大量に貼られるといった「ブラックハットSEO」のリスクには十分な警戒が必要です。

項目成果報酬型のメリット成果報酬型のデメリット
費用順位が上がるまで支払いが不要(初期リスク低)上位表示が続くと支払総額が青天井になる
施策特定のキーワード順位上昇に特化できる順位以外の改善(CVRや回遊率)は範囲外
対象ビッグワードや特定の収益キーワードに集中ロングテールキーワードの対策には不向き
リスク効果が出ない場合のリスクヘッジができる契約終了後に順位が急落する可能性がある

デメリットである「長期コストの増加」に対しては、成果発生の上限金額(キャップ)を設定するか、一定期間上位表示が続いた後は固定報酬型や内製化への切り替えが可能な契約にしておくことが有効なカバー策となります。

成果報酬型を選ぶ際、最も注意すべきは「どのキーワードで成果とするか」という定義です。

検索ボリュームが極端に少ない、あるいはコンバージョン(CV)に繋がらないキーワードで1位を取っても、ビジネス上の成果は得られません。

③スポット型のメリット・デメリット:課題特化⇔継続運用の抜け漏れ

スポット型(一括払い)は、特定の作業やプロジェクトに対して単発で費用を支払う契約形態です。

「サイトの健康診断(SEO診断)だけ頼みたい」「内部対策の指示書だけ作ってほしい」「特定カテゴリの記事を20本納品してほしい」といった、明確なタスクがある場合に最適です。

必要な時に必要な分だけ発注できるため、無駄なコストが発生せず、予算の消化もしやすいというメリットがあります。

社内にSEO担当者がいて、リソースが不足している部分や専門的な知見が必要な部分だけを外部に委託したい場合に非常に使い勝手の良いプランです。

一方で、SEOは「一度やって終わり」ではなく、競合の動きやアルゴリズムの変化に合わせて継続的なメンテナンスが必要な施策です。

スポット依頼では、納品後の順位変動に対するフォローや、新たな課題への対応が含まれていないことが多いため、施策のやりっ放しになってしまうリスクがあります。

項目スポット型のメリットスポット型のデメリット
費用必要な施策分だけの支払いで無駄がない追加作業が発生するたびに見積もりが必要
柔軟性繁忙期や予算消化に合わせて依頼できる業者のリソース状況により即応できない場合も
範囲タスクが明確で納品物の検収がしやすいサイト全体の戦略的な整合性が取れにくい
運用社内リソースの不足分だけを補完できる施策後の効果検証や改善(PDCA)が手薄になる

デメリットである「継続性の欠如」をカバーするためには、スポット施策の実施後に必ず社内で効果測定を行う体制を整えるか、四半期に一度の定期診断をセットで依頼するなどして、メンテナンスの抜け漏れを防ぐ工夫が必要です。

【保存版】見積チェックリスト16項目:金額だけでなく『範囲』を見る

見積もりを比較する際、提示された「金額」の安さだけで判断するのは危険です。SEO対策のトラブルの9割は、「やってもらえると思っていた作業が含まれていなかった」という認識のズレから生じます。

「SEO一式」という言葉に甘えず、具体的な作業範囲や契約条件を細部まで確認することで、後々の追加費用や成果が出ないリスクを未然に防ぐことができます。契約前に必ず確認すべき16のチェック項目を、重要度ごとに以下の表にまとめました。

カテゴリチェック項目確認すべき理由
目標設定①目的・KPIの明記売上に繋がらない「順位だけ」の契約を防ぐため
作業範囲②作業範囲の明確化「それは別料金です」というトラブルを避けるため
コンテンツ③記事本数と単価・品質基準低品質な記事の量産によるペナルティを防ぐため
調査・分析④キーワード調査と競合分析の深さ戦略の根拠となるデータの精度を担保するため
内部対策⑤内部対策の作業項目指示出しだけでなく「実装」まで含むか確認するため
技術要件⑥技術要件(CWV等)開発知識が必要な修正に対応できるか判断するため
報告・定例⑦レポート粒度と会議頻度PDCAが正しく回っているか監視するため
契約条件⑧契約期間・更新・解約条件成果が出ない場合に早期撤退できるか知るため
成果・免責⑨成果定義と免責条件順位変動リスクに対する保証範囲を明確にするため
資産権利⑩権限・資産の扱い解約後のデータやコンテンツの持ち逃げを防ぐため
リスク管理⑪外部リンク方針ペナルティリスクのあるスパム施策を排除するため
体制⑫体制・担当者契約後に新人担当者がつくリスクを回避するため
費用内訳⑬ツール費の計上方法隠れたランニングコストを把握するため
品質保証⑭修正回数とSLA納品物のクオリティを担保するため
追加費用⑮追加費用の発生条件想定外の出費で予算オーバーになるのを防ぐため
記事品質⑯コンテンツ品質基準独自性のないコピーコンテンツを納品させないため

①目的・KPIの明記(自然検索セッション/CV/売上連動)

見積もり依頼の段階で最も重要なのは、「何のためにSEOをするのか」という目的(KGI)と、その達成度を測る指標(KPI)を業者と共有し、合意しておくことです。多くの企業が「検索順位1位」を目標にしがちですが、順位はあくまで手段であり、最終的なゴールは「お問い合わせ数の増加」や「売上の向上」にあるはずです。

順位だけをKPIに設定すると、検索ボリュームはあるが購買意欲の低いユーザーばかりが集まり、費用対効果が悪化するケースが後を絶ちません。見積書や提案書の備考欄に、目指すべき「自然検索経由のセッション数」や「コンバージョン(CV)数」、さらには「想定される売上貢献額」が明記されているか確認してください。これらが数値として落とし込まれていない場合、プロジェクトの方向性がブレやすく、成果の検証も曖昧になってしまいます。

契約時には、順位以外の指標も含めた複合的なKPIを設定し、ビジネスの成長に直結する施策であることを確約させてください。

②作業範囲の明確化(戦略・制作・内部修正・レポートの線引き)

SEO対策における「作業範囲」は業者によって定義が大きく異なるため、見積もりの明細行に具体的なタスク名が記載されているかを確認する必要があります。

例えば「内部対策費」という項目があった場合、それが「改善指示書の作成」までなのか、それとも「実際のHTMLコード修正(実装)」まで含むのかによって、こちらの負担は大きく変わります。もし実装が含まれていない場合、自社のエンジニアを稼働させるか、別途制作会社に修正を依頼する費用が発生してしまいます。また、コンテンツ制作においても、「構成案の作成」「画像選定」「WordPressへの入稿」が範囲に含まれているかを細かくチェックしてください。

曖昧な表記はトラブルの元凶となるため、以下の表を参考に、誰がどこまでやるのか(RACIチャート)を明確にした「役割分担表」を見積もりとセットで提出させることがトラブル回避の鉄則です。

作業フェーズSEO業者の範囲(例)自社の範囲(例)確認ポイント
戦略設計キーワード選定、KGI設計ターゲット情報の提供ターゲット選定はどちらが行うか
記事制作構成、執筆、画像選定専門的な監修、事実確認監修者のアサインはどちらか
内部修正要件定義、指示書作成コード編集、本番反映CMSの操作権限を渡すか
分析報告レポート作成、改善提案社内報告、意思決定定例会議の頻度と参加者

③記事本数と単価・品質基準(文字数/構成/編集/監修)

コンテンツSEOの見積もりでは、記事の「本数」と「単価」だけでなく、その「品質基準」が明確に定義されているかを確認することが不可欠です。

単に「10記事で30万円」と提示されても、その記事が3,000文字程度の薄い内容なのか、10,000文字を超える網羅的な内容なのかによって、コストパフォーマンスは全く異なります。

また、昨今のSEOでは「誰が書いたか」というE-E-A-T(専門性・権威性・信頼性・経験)が重視されるため、専門家による監修や、一次情報の収集が含まれているかも重要なチェックポイントです。安価な見積もりの場合、クラウドソーシングで安く集めたライターに丸投げし、コピペチェックだけ通したような低品質な記事が納品されるリスクがあります。

契約前には必ず「過去の納品実績(ポートフォリオ)」や「記事構成案のサンプル」を見せてもらい、自社が求める品質レベル(トーン&マナー)と合致しているか、修正回数に制限はあるかなどをすり合わせてください。「文字数はあくまで目安とし、検索意図を満たすことを最優先する」といった品質重視の条項が含まれているのが理想的です。

④キーワード調査と競合分析の深さ(件数・粒度・納品物)

SEO戦略の根幹をなすキーワード調査は、単にツールで抽出したリストを渡されるだけでは意味がありません。そのキーワードで上位表示された場合にどれくらいの流入が見込めるのか、競合サイトはどのような強みを持っているのかといった「分析の深さ」が見積もり金額に反映されているかを見る必要があります。

質の低い業者は、検索ボリュームだけで機械的にキーワードを選定し、ユーザーの検索意図(インテント)や成約までの距離(カスタマージャーニー)を考慮しない提案をしてくることがあります。見積もり内容を確認する際は、「対策キーワードの選定根拠」や「競合サイトとのギャップ分析」が含まれているか、またそれらがどのような形式(Excel、スプレッドシート、レポートPDFなど)で納品されるかを聞いてください。

特に、競合サイトの被リンク分析やコンテンツの網羅性比較など、自社では取得困難なデータを用いた分析が含まれている場合、その費用は妥当な投資と言えます。調査データは自社の資産となるため、契約終了後も利用可能な形式で納品されることを条件に盛り込んでください。

⑤内部対策の作業項目(サイトマップ・内部リンク・スキーマ等)

内部対策はWebサイトの土台を整える重要な施策ですが、その内容は「titleタグの修正」といった基本的なものから、「構造化データ(スキーマ)の実装」や「クロールバジェットの制御」といった高度なものまで多岐にわたります。

見積もりに「内部対策一式」としか書かれていない場合、業者が想定しているレベルと自社が必要とするレベルに乖離が生じる可能性があります。特にWordPressなどのCMSを使用している場合、プラグインの導入や設定調整だけで済ませるのか、テーマファイルの直接編集まで行うのかを確認する必要があります。

サイトの規模が大きくなるほど、内部リンクの最適化やパンくずリストの設計が順位に与える影響は大きくなるため、これらの設計図(ワイヤーフレームや指示書)が納品物に含まれているかをチェックしてください。また、実装後の「効果検証」までが見積もりに含まれているかどうかも重要です。修正して終わりではなく、GoogleSearchConsoleでエラーが解消されたか、インデックス数が増加したかを確認するプロセスまでをセットで依頼することをお勧めします。

⑥技術要件(CoreWebVitals・ログ解析・リダイレクト設計)

近年、GoogleはCoreWebVitals(LCP・FID・CLS)などのページエクスペリエンス指標をランキング要因として組み込んでおり、技術的なSEO(テクニカルSEO)の重要性が増しています。

しかし、多くのコンテンツ制作会社や格安SEO業者は、このような技術的な要件に対応できるエンジニアを抱えていません。見積もりの中に、ページの表示速度改善やモバイルフレンドリー対応、JavaScriptのレンダリング最適化といった技術的な項目が含まれているかを確認してください。

特にサイトのリニューアルやドメイン移転を伴う場合は、適切なリダイレクト設定(301リダイレクト)が行われないと、これまで積み上げたSEO評価がすべて失われる致命的なリスクがあります。

サーバーログの解析やステータスコードの監視といった、バックエンド側の知識が必要な施策については、対応可能な担当者が在籍しているか、あるいは外部の技術顧問と連携できる体制があるかを聞くことが重要です。「技術的な調査費」が別途計上されていても、それに見合う改善提案が出てくるかを判断するために、過去の改善事例を提示してもらいましょう。

⑦レポート粒度(KPI・洞察・次アクション)と月次会議の頻度

月額費用を支払うコンサルティング契約において、毎月のレポートと定例会議はサービスの品質を測るバロメーターとなります。しかし、単にGoogleアナリティクスの画面をキャプチャしただけの薄いレポートや、順位変動の報告だけに終始する会議では、費用の無駄遣いと言わざるを得ません。

見積もりを確認する際は、レポートのサンプルを取り寄せ、そこに「数値の羅列」だけでなく「なぜそうなったのか(洞察)」や「来月どうするのか(次アクション)」が具体的に記述されているかをチェックしてください。また、定例会議の頻度(毎月・隔月・四半期ごと)や開催形式(対面・オンライン)、参加メンバー(コンサルタント・ディレクター・ライター)についても事前に合意しておく必要があります。

特に重要なのは、レポートの中に「施策の進捗管理表」が含まれているかどうかです。計画通りに記事が公開されているか、内部修正が完了しているかが一目でわかる管理体制が整っていれば、プロジェクトの遅延を防ぎ、着実に成果へと近づけることができます。

⑧契約期間・更新・解約条件(縛り・途中解約可否)

SEO契約で最もトラブルになりやすいのが「契約期間の縛り」と「解約時の条件」です。多くのSEO業者は「効果が出るまでに時間がかかる」という理由で、6ヶ月から1年の最低契約期間を設けています。

これは合理的な理由ですが、万が一業者の対応が悪かったり、全く成果が出なかったりした場合に、長期間費用を支払い続けなければならないリスクとなります。

契約書にサインする前に、「途中解約は可能か」「その場合の違約金はいくらか」「何ヶ月前に通知すればよいか」という条項を必ず確認してください。また、契約期間終了後の「自動更新」についても注意が必要です。

解約の申し出がない限り自動的に契約が更新される条項が入っている場合、意図せず契約が延長されてしまうことがあります。リスクヘッジとして、「最初の3ヶ月は試用期間とし、双方の合意があれば本契約に移行する」といった柔軟な契約形態を交渉するか、成果が出ない場合の「ペナルティ解除(早期解約権)」を特約として盛り込むことを検討してください。

⑨成果定義と免責条件(順位のみ契約の回避)

成果報酬型の契約だけでなく、固定報酬型であっても「成果の定義」と、成果が出なかった場合の「免責事項」を確認することは重要です。

「上位表示率〇〇%」といった数値を保証する業者は少なくありませんが、その裏にある条件(キーワードの指定権限が業者にある、競合が少ないロングテールのみ対象など)をよく読まないと、ビジネスインパクトのない成果でお茶を濁される可能性があります。

また、Googleのアルゴリズムアップデート(コアアップデート)によって順位が急落した場合の対応についても明確にしておくべきです。「アルゴリズム変動は不可抗力」として一切の責任を負わないとする業者が大半ですが、良心的な業者であれば、リカバリーのための調査や修正方針の策定を無償または特別価格で行うといったサポート体制を整えています。

契約書には「順位の保証はできない」と書かれるのが一般的ですが、その代わりに「契約期間中に実施する作業量(記事数や修正工数)」を成果物として定義(コミット)してもらうことで、投資対効果を担保することができます。

⑩権限・資産の扱い(GA4/GSC/原稿・画像の著作権帰属)

SEO対策を進める中で作成されたコンテンツやデータ、アカウントの権限は、企業の重要な「資産」です。しかし、契約によってはこれらの所有権が業者側に帰属するとされている場合があり、解約時にトラブルとなるケースが散見されます。

例えば、Googleアナリティクス4(GA4)やGoogleSearchConsole(GSC)のアカウントを業者が代理で開設した場合、契約終了後にアカウントごとかっさらわれてしまい、過去のデータをすべて失うという最悪の事態も起こり得ます。見積もりおよび契約確認時には、これらのツールのアカウントは「自社で開設し、業者に権限を付与する」形をとるか、業者が開設した場合でも「解約時には譲渡する」旨を明記させてください。

また、納品された記事や画像、内部修正のソースコードについても、支払いが完了した時点で著作権が自社に移転することを確認する必要があります。これを怠ると、解約後に記事を削除されたり、他社サイトに転用されたりといった被害に遭うリスクがあるため、知財に関する条項は法務担当者も含めて厳重にチェックしてください。

⑪外部リンク方針

外部対策(被リンク獲得)はSEOにおいて強力な効果を持ちますが、その手法によってはGoogleからペナルティを受ける最大のリスク要因にもなります。

特に、リンクを金銭で購入したり、自作自演のリンク集(PBN:プライベートブログネットワーク)から大量にリンクを貼ったりする「ブラックハットSEO」は、一時的に順位が上がっても、最終的にはインデックス削除などの厳しい制裁を受けることになります。

見積もりに「外部対策費」が含まれている場合は、その具体的な手法を問い質し、「リンクの購入や自演リンクは一切行わない」という言質を取ってください。健全な外部対策(ホワイトハットSEO)とは、プレスリリースの配信や寄稿、SNSでの拡散、高品質なコンテンツによる自然なリンク獲得(リンクベイティング)などを指します。

業者が「独自のリンクネットワークを持っている」とアピールしてきた場合は要注意であり、そのリストがGoogleのガイドラインに違反していないか、具体的なサイト例を確認するまで契約してはいけません。契約書に「ガイドライン違反の施策による損害賠償」を含めることも有効な防衛策です。

⑫体制・担当者(実働者の経験年数・実績URL)

SEOの成否は、会社の知名度よりも「実際に誰が担当するか」という個人のスキルに大きく依存します。営業担当者が優秀でも、実務を行うコンサルタントやライターが経験の浅い新人であれば、期待した成果は得られません。

見積もりを比較検討する際は、担当予定者の「プロフィール(経歴・経験年数)」や「過去の実績(担当サイトのURLや具体的な成果)」を提示してもらうよう要求してください。特に、医療や法律、金融などの専門知識が必要な業界(YMYL)では、その分野に精通したライターや監修者がチームに含まれているかが決定的な差となります。

また、担当者が複数の案件を抱えすぎていないか、連絡のレスポンスは速いかといった「稼働の質」も重要なチェックポイントです。可能であれば、契約前に実務担当者と直接面談(Web会議含む)を行い、コミュニケーションの相性や熱量を確認することをお勧めします。「契約してみないと誰がつくかわからない」というガチャ要素を極力排除することが、プロジェクト成功への第一歩です。

⑬ツール費の計上方法(込み/別・金額)

SEO業者が使用する高機能な分析ツール(Ahrefs,Semrush,Keywordmapなど)は、月額数万円から十数万円のコストがかかります。見積もり金額の中に、これらの「ツール利用料」が含まれているのか、それとも別途請求されるのかを確認してください。

「コンサルティング費」の中にツール代が含まれている場合、一見お得に感じますが、契約終了後にそのツールで取得したデータが見られなくなるというデメリットもあります。

逆に、自社でツールを契約し、業者にアカウントを共有する形式であれば、契約終了後もデータと環境が自社に残るため、長期的な資産形成の観点からは有利です。また、順位計測ツール(GRCやBULLなど)については、キーワード数に応じて料金が変動するため、将来的にキーワードが増えた場合の追加費用についても確認しておく必要があります。

見積もりの内訳に「システム利用料」や「諸経費」といった曖昧な項目がある場合は、その具体的な内容と、自社への還元(アカウント付与やデータ共有)があるかを明確にさせてください。

⑭修正回数と納期・品質保証

記事制作や内部対策の指示書作成において、納品後の「修正」が何回まで無料で対応してもらえるかは、コストとスケジュールに直結する問題です。

多くの業者では「修正は2回まで」といった制限を設けていますが、品質基準が曖昧なままだと、納得のいくクオリティになる前に追加費用を請求されるトラブルに発展しかねません。見積もり段階で、修正回数の上限だけでなく、「誤字脱字や事実誤認などの業者側の過失による修正は回数に含めない」といったルール(SLA:サービス品質保証)を定めておくことが重要です。また、納期遅延に対するペナルティや、急な修正依頼に対する特急料金の有無についても確認してください。

特にWebサイト制作もセットで行う場合、バグや表示崩れに対する「瑕疵担保期間(契約不適合責任期間)」がどの程度設定されているか(通常は納品後3ヶ月〜1年)は、技術的なトラブルから身を守るために必須の確認事項です。お互いが気持ちよく仕事を進めるためにも、修正のフローとルールを事前にクリアにしておきましょう。

⑮追加費用の発生条件(例:急ぎ対応・再撮影・追加改修)

当初の見積もり金額には含まれていない「追加費用」が発生する条件を事前に洗い出しておくことで、プロジェクト途中での予算オーバーを防ぐことができます。

よくある追加費用の例としては、「定例会議の回数追加」「現地取材や撮影の実費」「急なスケジュール変更に伴う特急対応」「CMSのアップデートに伴う技術改修」などが挙げられます。また、記事制作において、当初の構成案から大幅に内容を変更する場合や、文字数が想定を大きく超えた場合の単価調整についても確認が必要です。

見積書には「上記以外の作業は別途見積もり」と小さく書かれていることが多いため、具体的にどのようなケースが「上記以外」に該当するのかをヒアリングし、想定される最大コストを試算しておくと安心です。

可能であれば、単価表(メニュー表)を別途もらい、追加作業が発生した場合の費用感を把握しておくことで、都度見積もりを取る手間を省き、迅速な意思決定が可能になります。「これくらいはやってくれるだろう」という期待は捨て、すべてを契約と金額で明確にする姿勢が、健全な取引関係を築く鍵となります。

⑯コンテンツ品質基準(E-E-A-T・一次情報・引用の扱い)

最後のチェック項目は、SEOの核となる「コンテンツの品質」をどのように定義し、担保するかという点です。GoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を評価基準として掲げており、ネット上の情報を切り貼りしただけの記事(コタツ記事)は評価されなくなっています。見積もりを依頼する際は、業者が「独自性(オリジナリティ)」を出すためにどのような工夫をしているかを確認してください。

具体的には、「執筆者へのインタビュー実施」「独自のアンケート調査」「自社データの活用」「信頼できる公的機関や論文からの引用」といったプロセスが制作フローに含まれているかを見ます。また、生成AI(ChatGPTなど)の活用方針についても確認が必要です。

AIを補助的に使うのは問題ありませんが、AIが書いた文章をそのまま納品するような業者では、著作権侵害や誤情報のリスクが高まります。「AI使用の有無と範囲」「コピペチェックツールの使用基準(一致率〇%以下など)」を品質ガイドラインとして明文化し、人間ならではの付加価値(インサイト)が含まれたコンテンツであることを納品条件に設定してください。

まとめ|相場を『目的×範囲』で捉え、妥当な見積を選ぶ。無料セカンドオピニオンで比較検討を

SEO対策の見積もりにおいて、万人に共通する「適正価格」というものは存在せず、適正か否かは「あなたの会社が何を成し遂げたいか」と「どこまでを業者に任せるか」という掛け合わせによって決まります。

単に金額の多寡だけで業者を選定してしまうと、目標達成に必要な施策が不足していたり、逆に自社で対応可能な部分に無駄なコストを支払ったりする結果になりかねません。 提示された見積もりが妥当かどうかを判断するためには、総額を見るのではなく、その内訳と作業範囲を細かく分解して確認する視点が不可欠です。 成功するSEOプロジェクトは、発注側と受注側の役割分担が明確であり、双方が同じゴール(KGI・KPI)を共有している状態から始まります。

  • 目的達成に必要な「作業量」が確保されているか確認する
  • 金額の安さよりも「信頼性」と「透明性」を重視する
  • 契約内容に不安がある場合は専門家の意見を聞く

多くの企業がSEOで失敗する最大の要因は、業者任せにしすぎてしまい、プロジェクトの主導権を失ってしまうことにあります。 「SEO一式」という曖昧な言葉に安心せず、具体的にどのような施策が行われ、それがどのように成果に結びつくのかを論理的に説明できるパートナーを選んでください。

また、一社だけの提案で即決するのではなく、必ず複数の業者から相見積もりを取り、提案内容と費用感を比較検討することがリスクヘッジになります。 それぞれの業者が持つ強みや得意分野は異なるため、横並びで比較することで、自社の課題に最もマッチしたプランが見えてくるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
中川裕貴のアバター

執筆者

中川裕貴 1億PVの男

Twitter:@ny__marketing
NYマーケティング株式会社 代表取締役。
オトコなら誰でも知っている『ポケパラ』をつくった人。最大で月1億PVまでグロース。その後、NYマーケティング株式会社を創業。大規模サイトSEOが得意。YouTubeでは鬼マニアックなSEO情報を発信中。
詳しいプロフィールはこちら。